新型コロナウイルスの影響で一時中断していたバスケットボール男子のBリーグが、14日から無観客で再開された。
選手や関係者の体調不良により、直前に中止が決まった試合もあったが、現場では置かれた立場で最善を尽くす人たちの姿があった。
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滋賀・YMITアリーナでは、西地区3位の滋賀レイクスターズがリーグ3連覇を目指すアルバルク東京を迎えた。2連戦を取材して見えたことがあった。
■チアリーダー
無観客開催による変化を想像し、到着した会場。その中で「ここまで徹底するのか…」と思ったのが、滋賀のチアリーダーによるパフォーマンスだった。
例えば試合中、守りの時間帯に行われる応援だ。
「チャン、チャン、ディ~フェンス!」
通常であればファンは「チャン、チャン」の部分で音を鳴らしながら「ディ~フェンス!」と声をそろえる。だが、今回はチアも声を出さない徹底ぶりだった。手に持ったポンポンで「チャン、チャン」の部分はリズムを取ったが「ディ~フェンス!」の部分では会場が静まりかえっていた。
無観客対応の応援を準備したのは、試合2日前の12日からだった。普段、試合の合間のパフォーマンスは全方向に視線を向けるが、今回は2階席に設置されたライブ中継のカメラへ目線をやるように意識。リーダーのNANAKOが、違いを丁寧に説明してくれた。
「もちろん応援もしますが、いつもよりパフォーマンスを重視しました。いつもの音響や照明じゃない中で、一発で力を発揮しないといけない。これまで周りの要素に助けられていたことに、気付く機会にもなりました。大変な状況ですが、みんなで前を向いていけるように、伝えていきたいと思っています」
■会場の設営
リーグ中断前に滋賀は5連勝。2連覇中のA東京を迎える一戦は注目度が高く、関係者によると「かなりチケットが売れていた」という。だが、無観客により払い戻しが決定。試合を開催しても、チケット、グッズ、飲食代などが見込めない。西村大介社長は言う。
「(見込んでいた)かなりの額がなくなってしまう。それに代わる収入は…なかなか難しいですね」
その中でもスタッフは全力を尽くした。例えばスポンサーへの対応だ。ライブ中継はメインスタンド2階席のカメラで行われるため、バナーを全て向かいのバックスタンド側に集めた。もちろん、普段なら観客が座る席も有効に活用した。
同じ会場で行われた試合は、昨年10月の宇都宮戦が最後。その映像を見返し、画面に映るか否か、リハーサルを繰り返したという。
一方で得点を表示するモニターや、場外の装飾など、簡素化することにも、できる限り取り組んだ。「中止」か「無観客」か-。経営的なダメージの度合いを問われた西村社長は、誠実に答えた。
「比較のしようがないのが正直なところですね。ネットの画面上ではありますが、バスケットを見ていただける。それは我々の(活動する)1つの意味だと思います」
■選手
他会場同様、両チームの選手はさまざまな思いを抱いていた。滋賀は新型コロナウイルス感染拡大の不安から、NBAに在籍経験を持つ米国出身3選手が2連戦を欠場。検温などが義務づけられたこともあり、純粋な気持ちで試合に臨めているとは言い難い。ただ、いざ試合が始まれば、全力で戦い続ける姿があった。
15日、2連戦を終えるとスタッフが会場の後片付けに入っていた。その脇でA東京の日本代表SG田中大貴(28)に尋ねてみた。
「無観客だからこそ、伝えられることはありますか」
少し考えた田中は、画面越しにBリーグを見る子どもたちを想像しながら、こう答えた。
「普段は仲間同士でしゃべっている声とか、聞き取りにくいと思うんです。スキルではないけれど、絶対に必要なことです。高いレベルになればなるほど、しゃべる能力は必要。NBAを見ていても、みんな能力の高さに目がいきがちだと思うけれど、自分が試合を見る時はそこを見ています。自分たちもそれ(NBAのようなコミュニケーション)を目指してやっていますし、若い選手にも見てほしいと思います」
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リーグ史上初の無観客試合。それぞれがプロとしての役割を模索し、2日間が終わった。【松本航】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)
◆松本航(まつもと・わたる)1991年(平3)3月17日、兵庫・宝塚市生まれ。武庫荘総合高、大体大ではラグビー部に所属。13年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社し、プロ野球阪神担当。15年11月からは西日本の五輪競技やラグビーが中心。18年平昌五輪ではフィギュアスケートとショートトラックを担当し、19年ラグビーW杯日本大会も取材。







