女子バスケットボールWリーグの20-21年シーズンが、18日に開幕する。昨季8位の東京羽田ヴィッキーズは初戦(19日)でシャンソン化粧品と対戦する。チームを引っ張り、日本代表でも中心として昨年9月のアジア杯4連覇に貢献した本橋菜子(26)は、チームが目指す4強進出に加え「意識している」という東京オリンピック(五輪)に向けた、大事なシーズンをスタートさせる。

昨季はコロナ禍で途中打ち切りとなったが、5勝11敗と負け越した。「接戦に持ち込んでも勝ち切る力がない。大事な場面で自分たちのバスケができていなかった」と反省する。本橋は代表活動もあって、過密日程の中でのシーズンとなり、満足はしていない。

本橋 チームとしては後半になるにつれて、成長を実感していたので、途中で終わって物足りなかった。個人的にはモチベーションが維持できず、心身ともに疲れちゃった部分もあって、迷惑かけちゃったかな。

東京羽田に入団し、2年目の17年から主将を務めるなど、責任感は強い。普段は笑顔満載の明るい本橋だが、コートに入ると真剣な表情に変わる。もともと学生時代は主将でも「まとめるのは苦手だった」とプレーで引っ張るタイプだった。成績も上がらず、若手の士気が低いのを感じ、主将2年目で意識が変わり、厳しい言葉を発するようになったという。

本橋 これまでは自分がやらなくてもいいと思っていたが、主将として何をすべきかを考えるようになった。若い選手たちがもう少し自覚を持って欲しいかなという部分はある。このままじゃ良くない。自分が変えたい、変えなきゃダメだと強く思った。昔の私を知っている人は、ガンガン言っているのを見るとびっくりすると思う。

自分も変わり、チームも変わった。主将は今季から副主将だった奥田に譲るが、チームを支えていくことには変わらない。

本橋 昨季開幕前は片手で数えるぐらいしか練習できていなかったし、そんな中で引っ張っていくのは大変な部分もあった。すべて背負わなくていいとなったことで気は楽になったかな。奥田も去年から責任感も出てきたし、任せられると。

自粛期間中は、埼玉の実家で大好きなピアノを弾き、リフレッシュ。練習再開は6月中旬まで延び「早くみんなに会いたい。バスケがしたい」と、はやる気持ちを抑えながらトレーニングを続けていたという。「期間が空いたのでワクワクしている。こんなに待ち遠しいのは初めて。お客さんが入れば、モチベーションは全然違う」と有観客での開催を喜んだ。

平均年齢24歳の若いチーム。「全員が積極的に持ち味を出せるのがいいところ。新人とか関係なく自分のプレーを出せたら勢いに乗っていける」と手応えを感じる。本橋は26歳ながら上から2番目の“ベテラン”だが「今が一番頑張り時かな」と気合十分。東京五輪を「1つの大きな目標」と位置付ける本橋が、チームを4強に引き上げ、来夏の大きな目標まで一気に突き進む。【松熊洋介】(日刊スポーツ・コム/スポーツコラム「WeLoveSports」)

◆本橋菜子(もとはし・なこ)1993年(平5)10月10日、埼玉県生まれ。小学校からバスケットボールを始める。志木中学校から明星学園(東京)に進学。高3でインターハイ3位。早大3年時には全日本大学選手権優勝。16年に東京羽田に入団。18年に日本代表初選出。19年アジア杯では4連覇に貢献し、MVPを獲得。164センチ、A型。

19日に初戦を迎える東京羽田ヴィッキーズの本橋菜子((C)Wリーグ/東京羽田ヴィッキーズ)
19日に初戦を迎える東京羽田ヴィッキーズの本橋菜子((C)Wリーグ/東京羽田ヴィッキーズ)