女子ゴルフの国内ツアー取材は、第2戦のNEC軽井沢72から、記者が競技会場で取材できるようになった。と言っても、コース内を歩き、選手のプレーを見ることはできない。従来、プレスルームが置かれていたクラブハウスにも入ることはできない。練習場横の駐車場に建てられたプレハブの仮設プレスルームが記者の居場所だ。

朝、会場に着くと、まずは検温と顔認証での身元確認。検温で異常がないと、その日限りの検温済みステッカーをシャツの左腕の部分に貼り、晴れて取材が可能となる。基本、選手のプレー中は、仮設プレスルームで待機。前面のリーダーボードと、時折映る中継局テレビの映像で、その日の動きを確認する。

それでも、プレーを終えた選手と対面で、取材する機会は設けられた。プレーを終えた選手が上がってくる18番ホールからクラブハウスへ向かう間のわずかなスペースだった。プレスルームからそこへ向かうにも、いちいち検温のポイントを通り、顔認証で身元確認する。新型コロナウイルス感染症対策のため、猛暑の中、何往復もするのは酷というものだが、仕方ない。

昨年11月以来、久しぶりに嗅ぐゴルフ場の芝のにおいは格別だった。女子ツアー開催のゴルフ場とは思えないほどの静けさ。そういえば、昨年のNEC軽井沢72は、AIG全英女子オープンで優勝した渋野日向子の帰国2戦目で、早朝から選手の車も会場入りが遅れるほどのシブコ渋滞で大にぎわいだった。

久しぶりに生で見る選手の顔が、キラキラ光って見えた。調子が出ないときの鈴木愛の独特な表情、黄金世代とそれより下の年代の選手たちのフレッシュな笑顔と、出場機会の限られた選手の鬼気迫る表情。リモート会見では分からないちょっとした表情の動き。今までなら当たり前だった取材現場の日常が、どれだけ貴重なものであったか。あらためて実感させられた。

NEC軽井沢72では、笹生優花という新たなスターが誕生した。開幕戦から2戦連続で、若い世代の活躍が去年以上に目立ってきた。開幕戦での渡辺彩香の復活V。そして、AIG全英女子オープンでの上田桃子のキャリアハイ6位という大活躍。コロナ禍で今年前半の活躍の場は奪われたが、少ない試合の中でも話題豊富。女子ゴルフの可能性を大いに感じさせてもらった。【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)