比嘉真美子(23=フリー)が約4年3カ月ぶりの優勝を飾った。通算11アンダーの首位で出ると3バーディー、2ボギーの71で回り、通算12アンダー204でキム・ハヌル(28)と並び、プレーオフへ突入。1ホール目でバーディーを奪い、13年5月のリゾートトラスト・レディース以来となるツアー通算3勝目を挙げた。来月にもフランスに渡るサポート役の姉夫婦に惜別の復活Vをささげた。

 大事な場面で、比嘉が「今日イチ」という1打をみせた。通算12アンダーで並んだキム・ハヌルとのプレーオフ(18番パー4)1回目。ピンまで残り127ヤードからピッチングウエッジで放った第2打は、ピン奥数十センチにピタリ。バーディーパットを沈めると深呼吸し、約4年3カ月ぶりの優勝をかみしめた。「放心状態です」とうれし涙をためた。

 14年後半からドライバーショットが曲がり始め、絶不調に陥った。「ティーグラウンドで脈が速くなり正常でなくなった」。15年は17戦連続予選落ちのスランプ。「2度と優勝できないという気持ちもあり、ゴルフをやめたいと思った時期もあった」。拒食症に近い状態で1カ月で5キロ近く体重が減った時、母彰子さんに「ゴルフで死ぬわけではない。ご飯を食べて」と助言された。徐々に復調したのは「家族の力。感謝の気持ちしかない」と比嘉。会場にいたマネジャーの姉久美子さん、姉の夫フローリアン・ロドリゲズ・キャディーをみつめた。

 義兄が母国フランスで新たな仕事をするため、今月いっぱいで昨秋から務めていたキャディーを卒業する。姉も渡仏するため「2人に優勝を贈ることができた」と笑顔。不振を乗り越え、比嘉が輝きを取り戻した。【藤中栄二】