日本初開催となった米ツアーでいきなり、タイガー・フィーバーが巻き起こった。

ツアー通算81勝でサム・スニード(故人)の元米ツアー史上最多82勝にあと1勝と迫るタイガー・ウッズ(43=米国)が9バーディー、3ボギーの64で回り、6アンダーで首位に立ち、最高のスタートを切った。

国内での男子ツアー初日としては最多の1万8536人(記録のある92年以降)の大ギャラリーが集結。13年ぶりの日本での試合を、主役がタイガー一色に染め上げる。

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生きる伝説ともいっても過言ではないウッズに、初日としては過去最多となる1万8536人が、心をわしづかみにされた。主役がスタートの10番に姿を現し、名前がコールされると、地鳴りのような大歓声。ラウンド中もショットを打つ度にタイガーコールが沸き起こった。

3連続ボギー発進から9バーディーでカムバックし、15年8月以来となる第1日の64をたたき出し、首位タイ。ジェットコースターのような1日で、大ギャラリーを魅了。「あの悪い出だしから、6アンダーまでの伸ばせるとは思っていなかった。後半はより易しいので、いくつか伸ばせたらと思っていたが、思った以上に伸ばすことができた」と涼しい顔で振り返った。

スタートの10番。クラブ選択で迷いが生じ、ティーショットを左の池に入れた。そこから3連続ボギー。いきなりつまずいたが、14番で3メートル、15番で2・5メートル、16番で3メートルを次々と決めて、すぐに取り返すともう止まらない。後半に入っても3番で4メートルのバーディーパットを決めてから、再びの3連続バーディーで首位タイにつけ、7番で6メートルを沈め、単独首位に立った。「アイアンの調子も良かったのでグリーンを攻められる位置につけたら、いくつかバーディーを決められると思っていたが、結果、それ以上を決めることができた」と納得した。

歴史的瞬間が目の前に迫ってきた。4月のマスターズを制し、ツアー通算81勝目を挙げ、サム・スニードの持つ史上最多82勝に王手をかけている。今年8月に5度目となる左膝の手術を受けた。その後をリハビリに充て、態勢を整え、今季初戦に大好きな日本開催を選んだ。膝は、以前は歩くのさえ厳しい状況だったというが「今日は、しゃがんでラインを読むことができるようになっていて、よかった」。大記録へカウントダウンに入っている。

現在、世界ランキングは10位。出場を目指している東京五輪へは、1つの国と地域で最大4人の出場が可能だが、強豪ひしめく米国で7番手と代表圏外にいる。日本で新たな勲章を手にし、20年東京五輪へも、大きくかじを取る。そんな週末にしたい。【松末守司】