2020年の男女ゴルフツアーが新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開幕戦からストップしている。ここまで中止、延期となった各大会の名場面を振り返ります。

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▽2004年(平16)大会(3月5~7日、沖縄・琉球GC)

女子ゴルフ界のニューヒロイン宮里藍が、衝撃のプロ初優勝を飾った。東北高3年の03年9月ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで、73年トヨトミレディースの清元登子以来30年ぶり2人目(当時)のアマチュア優勝を飾ってプロ転向。プロで初のツアーフル参戦となるシーズン開幕戦、地元沖縄で頂点に立った。

藍フィーバーだった。“藍の、藍による、藍のための大会”だった。

第1日は絶対女王の不動裕理、沖縄の後輩でポスト藍とされたアマチュアの諸見里しのぶと同組で2アンダーの70、首位と3打差13位発進。第2日は沖縄ならではの強風に周囲が苦しむ中、6バーディー、ボギーなし、アマチュア時代を含めてツアー自己ベストの66をマークし、単独首位に浮上した。

宮里の快進撃に、最終日は1万2081人の大ギャラリーがコースに殺到。熱狂の中、終盤は肥後かおりとのマッチレースとなったが、70にまとめ、通算10アンダーで最後は3打差をつけて逃げ切った。

キャディーは次兄優作に任せていた。最終日翌日には長兄聖志の結婚式だった。タイミングも、場所も何もかも理想的なシチュエーションにあって、3月1日に東北高を卒業したばかりの18歳が、プレッシャーをはねのけ、主役を演じきった。

「順調過ぎて怖い? いえ、いいことに越したことはありませんから」。両目に強い光を宿し、笑顔で喜びを口にした。

宮里はこの年、5勝をマーク。獲得賞金1億2297万2349円で、賞金ランクは不動に次ぐ2位。国民的ヒロインの地位を確立した。

■過去5年の優勝者

15年 テレサ・ルー -14

16年 テレサ・ルー -8

17年 アン・ソンジュ -6

18年 イ・ミニョン -11

19年 比嘉真美子 -5