▽2019年(平31)大会(4月19~21日、熊本・熊本空港CC)

AIG全英女子オープンを制するなど、昨年大活躍した渋野日向子が、転機として口にしたのがこの大会だった。第1日の81という大たたきから、第2日は66。最下位から予選通過と史上2人目の大カムバックは、大きな自信となって渋野をトップ選手へ押し上げた。

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第1日は、1バーディー、8ボギー、1ダブルボギーの81をたたき、106位の最下位に沈んだ。10番パー4からスタートし、ボギー、ダブルボギー。3ホール連続でボールをコースの木に当てるなど、大きくつまずいた。その後も、立て直せず、終盤の6番から4連続ボギー。渋野は競技終了後の練習場で青木翔コーチに「81を打ちました。どうしたらいいですか?」と電話をかけた。

青木コーチの答えは「何も変えることはない。思い切ってやってこい」。難しいコースで構えてゴルフをしていた渋野は、気持ちを切り替えて、第2日は1イーグル、6バーディー、2ボギーの66。一気に56人を抜いて50位のギリギリで予選通過を果たした。

最下位からの予選突破は、03年プロミス・レディースで竹末裕美が記録した106位から38位に次ぐ、史上2人目の大カムバック。渋野は「99%通ると思っていなかったので、こんなに予選通過がうれしいことはないですね。感激と驚きで泣きそうです」とコメント。最終日も68をマークし、20位まで順位を上げ、リランキングでの後半戦出場権も確実にした。

渋野は、プロ初戦となったヨコハマタイヤ・プロギア・レディースで鈴木愛と優勝争いを演じた。それ以上に、コース設定の難しい熊本で66、68を出したことに自信を深めた。それが、続くフジサンケイ・レディースでの優勝争い。さらには、次のワールド・サロンパス・カップでのツアー初勝利、ひいては全英女子オープン制覇につながった。

渋野のゴルフの特徴である攻めのゴルフの根底には、「自分の今持っている力で勝負する」「できないことはやらない」といった考え方がある。シーズン前に、ウエッジやパターを中心に基本を「血のにじむようなという表現では言い表せないぐらいの努力をしてきた」(青木コーチ)という練習が間違っていなかったと渋野が感じられたのが、KKT杯バンテリン・レディースの3日間だった。自分のやってきたことを素直に肯定できたことで、渋野は飛躍へのキップをつかみ取った。

■過去の優勝者

15年 菊地絵理香 -9

16年 中止

17年 西山ゆかり -4

18年 比嘉真美子 -6

19年 李知姫 -8