2020年の男女ゴルフツアーが新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開幕戦からストップしている。ここまで中止、延期となった各大会の名場面を振り返ります。

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▽1987年(昭62)大会(7月23~28日、米ニュージャージー州プレーンフィールドCC)

岡本綾子が、プレーオフの末敗れ、日本人2人目のメジャー制覇を逃した。第3ラウンドで通算3アンダーで首位に立った岡本は、最終ラウンドでも首位をキープ。ローラ・デービーズ(英国)ジョアン・カーナー(米国)との3人による18ホールのプレーオフに突入。71で回ったデービーズが初優勝を果たした。77年、全米女子プロゴルフ選手権を制した樋口久子以来の快挙にあと1歩届かなかった。

 

豪雨による再三の順延で、最終ラウンドが行われたのは7月28日の月曜日。3アンダーの首位から出た岡本は、前半に5アンダーまでスコアを伸ばし、いったんは優勝に手をかけた。しかし、9番のダブルボギー。さらに13番では1メートルのバーディーチャンスを3パットで逃し、デービーズに並ばれた。一方、米国のベテラン、カーナーも最終18番で入れば優勝のバーディーパットを外し、3人が3アンダーで並びプレーオフに突入した。

全米女子オープンでは初めてという3人による18ホールのプレーオフは、翌28日の火曜日に開催。これも史上初めてのことだった。23歳と若く怖いもの知らずのデービーズが、4番でバーディーを奪い一歩抜け出した。岡本は、5番の池ポチャでボギー。続く6番も連続ボギーでデービーズとは3打差。カーナーも6、7番と連続ボギーと後退。前半は、デービーズ36、カーナー37、岡本38で折り返す。

後半はデービーズが2バーディー、1ボギー。カーナーが1バーディー、2ボギー。岡本は16番でこの日初のバーディーを奪ったものの、首位との2打差を詰めることはできなかった。日米英の実力者のプレーオフは、米国で最も権威のある大会と言われた全米女子オープンを文字通りワールドクラスにした大会として後世に語り伝えられることになった。

81年に30歳で米女子ツアーに本格参戦した岡本は、この年、36歳だった。全米女子オープンを始め4大メジャー大会でいずれも5位以内に入り、年間4勝。米国人以外では初めての米ツアーの賞金女王に輝いた。米メジャーでの2位は通算6回と優勝に手は届かなかったが、米女子ツアー通算17勝を挙げ、日本ゴルフ界の第一人者として世界が存在となった。

■過去5年間の優勝者

15年 田仁智 -8

16年 ラング -6

17年 パク・ソンヒョン -11

18年 アリヤ -11

19年 イ・ジョンウン -6