2020年の男女ゴルフツアーが新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開幕戦からストップしている。ここまで中止、延期となった各大会の名場面を振り返ります。

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▽2016年(平28)大会(7月8~10日、北海道・アンビックス函館C上磯GC)

黄金世代の1人、小祝さくらが、ツアーで注目を集めた初の大会だった。当時18歳、北海道・飛鳥未来高3年で、第1日にアマチュアのツアー最長タイ記録となる6連続バーディーを奪うなど7アンダー、65をマーク。アマチュアではツアー史上5人目の単独首位発進を決めた。

6連続バーディーの中身は、10メートル前後のロングパット3発、11メートルのチップインなど派手な内容。小祝は「入りすぎて途中で怖くなりました」と笑った。

色白の道産子は、母子家庭で飲食店経営の母ひとみさんに育てられた。通信制高校入学後は家計を助けるべくアルバイト。ゴルフシーズンは札幌リージェントGCで、コースがクローズになる冬場はスポーツ用品リサイクル店で。

一方で、ひとみさんの「プロボクサーの卵と一緒に練習したら、根性もつくし…」という発案から、週に3日はボクシングジムに通った。3分動いて1分休むボクサー流トレーニングで体幹を鍛え、雪の中でロードワークもこなした。

第2日は73と我慢し、後続に並ばれたが、首位を守った。第1日終了後、14年にアマチュア優勝した同学年の勝みなみと現地の有名ハンバーガーチェーンに行き「私(明日は)80たたくかも…」とビビッていたのがうそのような頑張りで、史上初の“アマチュア完全優勝”に王手をかけた。

初の最終日最終組は、首位で並んでいた李知姫、大江香織と回り、終盤に力尽きて73。ツアー初優勝を飾った葭葉ルミに逆転され、通算5アンダーの8位で大会を終えたが、ツアー7戦目で初のトップ10フィニッシュだった。

小祝は「優勝はできたらいいな、ぐらいに思っていたので、トップ10に入れたことがすごくうれしい」と話した。当時から力みのないスイングで、リズムは常に一定。現在のプレースタイルの片りんを、すでに見せていた。

■歴代優勝者

16年 葭葉ルミ -8

17年 イ・ミニョン -19

18年 アン・ソンジュ -13

19年 S・ランクン -15