国内女子ゴルフツアー開幕戦となるアース・モンダミン・カップ(25~28日、千葉・カメリアヒルズCC)に出場する吉本ここね(20=不二サッシ、札幌市出身)が23日、出場選手に義務付けられたPCR検査を受診した。新型コロナウイルスの影響で、今季の日本ツアーは来年の全日程と統合されて長期戦になる。プロテスト合格同期の渋野日向子(21=サントリー)にも刺激を受け、“ここねスマイル”で異例のシーズンを駆け抜ける。

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約4カ月遅れて待ちに待ったツアーが開幕する。吉本は「アースより先の大会が中止になっていたので難しいかなと思っていたけど良かった。試合に出られることに感謝して開幕を迎えたい」。この日会場でPCR検査を受診。無観客での大会実施など異例の開幕となったが、ゴルフをできる喜びを初戦にぶつける。

18年にプロテストに合格し、ツアー参戦1年目の昨季は28試合に出場。6月のヨネックス・レディースでは初日首位発進するなどルーキーイヤーから存在感を示したが、結果的に同大会の16位タイが最高成績だった。「予選を通過しても、疲れやピンポジションもあって、3、4日目に悪くなってしまった」。体力面の課題と平均217ヤードだったドライバーの飛距離改善を図り、オフには雪上で走り込み、1日100回をノルマに素振りをこなし「去年より球は強くなった」と手応えもつかんだ。

精神面でも新たな気持ちでツアーに挑む。「去年は思うようにいかずに全然楽しめなかった」。プロの重圧に苦しんだが、新たな発見もあった。昨夏のAIG全英女子オープンを制した渋野と資生堂アネッサ・レディースなどで同組で回った。「すごすぎて同じプロと思えない」と言うが、常に笑顔で戦い抜く全英女王の姿を間近で見て、「イラッとしても何のプラスにもならない」ということを学んだ。

今年のツアーは37戦中22戦の中止が決定。20-21年が統合された過酷なシーズンとなる。道外に拠点を置くことを勧められても「北海道が好きなので」。コロナ禍でも高校卒業後に研修生として活動した苫小牧・桂GCを拠点に3密を避けながら練習を続けてきた。吉本は「人を意識するのは苦しい。自分の目標を達成することに集中したい」。シード権獲得を目指し、笑顔であふれるシーズンにする。【浅水友輝】

◆吉本ここね(よしもと・ここね)2000年(平12)1月5日、札幌市生まれ。8歳でおもちゃのクラブを振り始める。札幌光星高1年の15年に北海道女子アマ優勝。16年に日本ゴルフ協会(JGA)ナショナルチーム入りし、18年7月にプロテスト合格。実家にいるトイプードルの「プー」と雑種の猫「ニンニン」が癒やし。料理も勉強中で母に教わりながら、肉じゃがや小松菜のおひたしに挑戦。趣味は野球観戦でエンゼルス大谷翔平のファン。家族は両親。161センチ、53キロ。