無名のジャニーズ系ゴルファー、伊藤有志(25=アイシグリーンシステム)が6バーディー、1ボギーの66で回り、5アンダーで暫定ながらプロ初の単独首位発進した。

昨年のツアー出場は1試合のみ。新型コロナ禍で今季の出場もあきらめていたが、限られたチャンスで一躍脚光を浴びた。プロ20年目の市原弘大が4アンダーで2位。今大会3勝目を目指す石川遼は、3ーバーで72位と出遅れた。雷雲接近で中断し、日没までに21人が競技を終えられなかった。今季国内初戦はコロナ感染対策として無観客で行われた。

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あきらめていた舞台で、伊藤がチャンスを生かした。出だしの10番こそ「ふわふわしていた」とボギーをたたいたが、12番でバーディー。15番でもバーディーを奪いアンダーパーとした後の16番パー3。右のバンカーから約30ヤードを直接決めて波に乗った。

後半も3番、4番と連続バーディー。国内ツアー屈指の難コースで6つもバーディーを奪い、プロ14戦目で初の首位発進を決めた。「ほぼ完璧な1日。ショット自体はいいわけじゃないけど、ボギーも1ホールしかなく、ラッキーなバーディーもあって、そこがかみ合った」と、ホールアウト後は多くの報道陣に恥ずかしそうに話した。

17年にプロ転向したが、結果が出ず、17年9試合→18年3試合→19年1試合と出場機会が減っていった。昨年はAbema TVツアーで賞金ランク23位に入り、今季前半戦の出場権を獲得。しかし、コロナ禍で国内ツアーは25試合中17試合が中止。「ツアー出場はあきらめて、下部ツアーのAbemaで頑張ってシード権取ろうと思っていた」と話す。

それでも、コロナ禍でできた長いオフ期間に、下半身の強化に取り組んだ。体重が61キロから67キロに増えた。ドライバーの飛距離も平均265ヤードから280ヤードにアップ。小食だったのが「今朝はホテルでクロワッサンを3個も食べた」と、地道な努力が実を結んだ。

コロナ対策で特例として認められたキャディーをつけないセルフプレーを選択。電動アシストカートを引っ張り、同組の東北福祉大の後輩に移動で後れを取りながらも、好スコアをたたき出した。「プロキャディーさんに1回は付いてもらいたいが、気を使っちゃう。全部自分のせいにしたいから」と意に介さない。

17年プロ1年目に7位と最高成績を挙げたゲンのいい大会。ジャニーズ系と言われる端正なマスクで笑いながら「今日のスコアが出ればうれしいけど、イーブンが目標」と控えめに第2日以降の目標を口にした。【桝田朗】

◆伊藤有志(いとう・ゆうし)1994年(平6)12月15日、三重県生まれ。三重・徳和小時代はソフトボールに取り組み、6年時に全国ベスト16。10歳から父親の影響でゴルフを始め、三重高時代は中部高校選手権春季大会などで優勝。東北福祉大に進学し、2年時の14年に東北アマで優勝。16年の日本学生で2位。16年11月のプロテスト合格で17年にプロデビュー。ジャニーズ系と言われるが本人は「有吉に似てると言われる」。167センチ、67キロ。