元賞金女王で国内メジャー無冠の上田桃子(34)が首位と2打差3位で最終日を迎える。

「風が吹いたら私も苦しいけど、おもしろくなる」。第2ラウンド(R)を終え、そう言ったベテランの“予言”は当たった。穏やかだったコースで風が強まったこの日、1、3番でバーディーを先行させ、7番でボギーを喫したが、16番でバーディー。最終18番パー4は第2打がグリーン手前のラフにショートしたが、60度のウエッジで柔らかく球を上げ、20ヤードをピン横80センチへ。ナイスパーで締め、スコアを70でまとめ、スタート前の3打差5位から首位に1打接近した。

「風が吹いて、結構(技術の)差が出るな、耐えていけば順位は上がっていくと思った。(グリーンを狙うショットを)外しちゃいけないところには外していない。微妙だった数ホールでしっかりパーを取れたのが大きいですね」

8月のメジャー・AIG全英女子オープンでリンクスの強風に耐え抜き、6位に入った。通算29度目のメジャーで自己最高位を更新した。「ゴルフってコントロールが1番大事なんだとあらためて思いました。ナイスショットでも“あれ?”っていうことになったりする」。典型的なドローヒッターで「左からの風が苦手」だった。自分の持ち球をどう風に当てるか-。ずっと右に出して、風にぶつけるイメージが強かったが、辻村明志コーチの助言もあり、左に出して風に乗せる練習を徹底し、大舞台に挑んだ。そんな技術の積み重ねが、この日も生きた。

45度目の出場の国内メジャーでは最近、決まって同じ質問を受ける。「まだ勝ってませんが」-。

「今まではそれが正直嫌だったけど、今年は全英をきっかけに“周りに言われるから勝ちたい”でなく“総合力を試せるところで勝ちたい”と思えるようになりました」。

最終日の2打差3位はチャンスだ。「勢いのある選手が上にいる。自分が伸ばしていかないとダメ。1~3番でしっかりバーディーを取って。トップでいるより、この位置からの方が…。16~18番はプレッシャーがかかりますからね」。上には黄金世代の原英莉花、ミレニアム世代の西村優菜、下には新世紀世代の笹生優花…。多士済々のV戦線を、上田は満喫するつもりだ。