青木瀬令奈(29=フリー)が今季初勝利、ツアー通算3勝目を挙げた。

首位から出て6バーディー、3ボギーの69。通算14アンダー、274で、トーナメントコースレコードの64をマークした黄アルムらを2打差で振り切った。

優勝後の公式会見で「ここ1年は、ちょっと正直苦しかったので、まずは人生を変えられた3勝目を挙げることができてうれしい」と話した。

17年ヨネックス・レディースでの初勝利は、36ホールの短縮競技となった最終日に2オーバーの13位から出て、本人も実感の薄い優勝だった。

21年のサントリー・レディースでは最終日最終組で追い上げての優勝。そして今回は、自身が理想とする第3日に首位に立ち、そのまま勝ちきるスタイル。「それでこそ精神的に強い選手。今までの自分を分かっているから、甘えを捨てて勝ちきった優勝は大きかった」と納得の優勝だった。

2勝目を挙げてからの1年は、特に苦しかった。「ざんげノート」に「ひたすら勝ちに対する気持ちをつづった」。コースや練習場の近くに神社やお寺があれば、お守りを買いにでかけた。「3週間に1回ぐらいは行っている」という。今大会の最終日の前日も大西コーチが神社へお守りを買いに出掛けたという。

最終日の優勝争いではキャディーも務めた大西コーチの「リーダーボードは見ない方がいい」の助言に従い、最終ホールのファーストパットを打つ前まで、あえて見なかったという。出だしの連続ボギーでも動揺せず、その直後の連続バーディーで盛り返したのも、1打1打に集中する気持ちがあったから。「初優勝のときと比べ、気持ちのコントロールがうまくできた。どこかで言い訳を用意していたのが、一切なくなり、覚悟を決められるようになった」と成長への手応えを口にした。

今回の優勝で生涯獲得賞金も3億円を超えた。子どものころに不動裕理にあこがれ「10億円を稼げる選手になりたい」とゴルフを始めた。「本当にこれが不動さんへの第一歩」と喜んだ。

東裕子や成田美寿々、福田真未ら92年度生まれを中心とする「最強アズマ軍団」と呼ばれる世代の中では、優勝も遅れてきた存在だ。来年2月には30歳になるが「勝ちに向けてやってきたからこそ、いい勝ち方ができた。1度もしたことのない複数回優勝を目指して頑張りたい」と新たな目標を口にした。

◆青木瀬令奈(あおき・せれな)。1993年(平5)2月8日、前橋市生まれ。名前は、両親が音楽家で「セレナーデ」から。ゴルフは7歳から。前橋商高卒業後、11年にプロテスト合格。15年に賞金ランキング27位で初シードを奪取。20年から日本女子プロゴルフ協会で選手会長的なプレーヤーズ委員長に。宝塚歌劇ファン。153センチ、50キロ。

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