【セントアンドルーズ14日=近藤由美子】松山英樹(30=LEXUS)は今季メジャー最終戦で、首位に7打差の35位で発進した。4バーディー、3ボギーの71。アスファルトの上から好ショットを放つなど、見せ場はつくった。21年マスターズに続く日本人初のメジャー2勝目に望みはつないだ。キャメロン・ヤング(米国)が64で回り、単独首位。タイガー・ウッズ(米国)は首位に14打差の145位と大きく出遅れた。

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首位と7打差発進も、松山は「聖地」ならではのプレーを見せた。

名物ホールの17番パー4。第1打はコースに隣接するホテルを越える会心のドライバーショットで、フェアウエーに運ぶ。だが、第2打はグリーンをオーバーし、コース右脇のアスファルト舗装の道路の上に止まった。そのまま打つのがコースの規則。ギャラリーから注目を集める中、固い地面からウエッジで第3打を放つ。絶妙な感覚で転がした球はピンまで約2メートルに寄った。鮮やかなアプローチで歓声を浴びた。

道路からのアプローチは織り込み済みだった。練習ラウンドで、17番右脇道路からのアプローチを繰り返した。練習が生きた形だが、「別に何も思ってないんで」とクールに返したが、綿密な計画性が垣間見えた。

その後のパーパットこそ、わずかに外してボギーとしたが、18番パー4は1オンに成功。第2打も30センチまで寄せてタップインでバーディー締め。最後はいい形で第1ラウンドを終え「ミスもありながら、最低限のプレーはできたかなと思う」と振り返った。

フェアウエーキープ率は75%で、出場選手156人中8位。ショットが安定していた。「ショットもパットも良くはなっているんですけど、もう少し何か、はまるものがあれば」と状態は悪くない。目指すは21年マスターズと初優勝を目指す全英のメジャー2冠。まずは5年ぶりの予選通過を目指し、今季最後のチャンスを狙っていく。

 

◆メジャー2冠達成者 松山はメジャー4大会で21年マスターズに続く2冠を目指している。2冠達成者は過去何人いるのか。メジャー優勝者は6月全米オープンを制したフィッツパトリックで228人(松山は225人目)になった。うち2冠以上の達成者は53人(2冠36人、3冠12人、4冠=グランドスラム5人)。全体の23・2%で4分の1以下。つまり4人に3人は1冠止まりで、ハードルは高い。直近の2冠達成者はコリン・モリカワ(20年全米プロ→21年全英オープン)で、松山が今大会で達成すれば史上54人目だ。ちなみにグランドスラマーはジャック・ニクラウス、タイガー・ウッズ、ベン・ホーガン、ゲーリー・プレーヤー、ジーン・サラゼン。

 

○…ウッズは6オーバー、78の146位と出遅れた。昨年2月の自動車事故による右脚負傷から4月マスターズ、3R後に棄権した5月全米プロに続いて復帰3戦目。1番で第1打がディボット跡に入り、第2打がグリーン前クリークに捕まってダブルボギーとなる不運もあった。硬いフェアウエーもタフなようで、時折つらそうな表情も。それでも「ここでプレーすることを望んでいた。明日(15日)は66を出せるかもしれない」と前向きだった。

○…メジャー初出場の桂川が1アンダー、71で35位、松山と並ぶ日本勢最高位につけた。1番パー4で5メートルのチャンスを沈めるなど4バーディー、3ボギー。硬いフェアウエー、異常にランの出るコースで安定した第1打と巧みなアイアン、ウエッジショットを披露。中学卒業後、フィリピンに単身ゴルフ留学した経験のある“国際派”は「アンダーパーで回れたことは自信になります。自分の中では上出来。この調子を続けられたら」とご機嫌だった。

○…世界アマチュアランク1位の中島が3連続ボギースタートから巻き返し、イーブンパーの72で55位発進した。4番パー4で初バーディーを奪い、最終18番パー4を1オン2パットで締めくくるなど、5バーディー、5ボギー。「何とかイーブンまで戻そうと思っていたので、後半バーディーが取れて良かった」。今秋にもプロ転向を予定しており、アマチュア最後の大舞台。第2Rはメジャー3戦目で初のアンダーパーを出し、初の予選通過を狙う。

<メジャー初出場、1オーバーで77位発進の比嘉>我慢しながら無難なプレーはできたと思うが、順位を見ると予選通過ラインにも及ばない。レベルが高いので、いつも以上のプレーが求められる。