昨年11月プロテスト合格のルーキー尾関彩美悠(あみゆ、フリー)が歴代8位年少記録「19歳94日」でツアー初優勝を飾った。単独首位スタートから5バーディー、3ボギーの70で通算13アンダー、203。吉田優利(22)とトップで並んで迎えた最終18番でバーディーを奪い、1打差で逃げ切った。前週の日本女子プロ選手権で同期、同学年の川崎春花が優勝した。「次は私!」と仲間に宣言。有言実行で頂点に立った。

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見た目通りの19歳だ。同組の吉田とトップで並んで迎えた最終18番パー4。尾関は打ち下ろしの第1打後、ティーグラウンドを降りながら、おにぎりを食べ始めた。「やばい。まだ食べてない」-。父美成さん手製のごま塩3個。午前の中断中に2個食べて、ラスト1個をパクついた。

第2打は左ラフから残り118ヤード。「手前に池がある。しっかり振らなきゃ」。ピッチングウエッジで打ち、舌をペロッと出して球の行方を目で追った。先に吉田にピン前3メートルにつけられたが、内側の1メートルに平然とつけ返した。堂々のウイニング・バーディーで締めくくった。

ホテルにパターを忘れたり、練習場に普通のシューズで行こうとしたり、インとアウトのスタートを間違えたり。「ビックリするほど、毎日、忘れ物が多いんです」という風情に、ツアー優勝者の貫禄はない。

見た目にはわからぬ19歳だ。

「同級生が優勝して“私も勝ちたい”と強く思って。だから、特に今週は優勝を意識して臨みました」という。前週の国内メジャーの日本女子プロ選手権で、プロ同期で同学年の川崎春花が勝った。自分は29位。昨年11月の最終プロテストは自分がトップ合格した。舞台は同じ京都・城陽CC。悔しくて号泣した。

その日の夜。「#次は私」-。そう書いて、SNSのメッセージを帯同キャディーの栗永遼さん(27)に送った。

「小さい時からずっと、賞金女王が目標です。海外に挑戦したい気持ちはあるけど、まずは日本で1番になりたいです」。最終日最終組はメルセデス・ランク1位で新世紀世代の山下、今季のトップ10数3位でミレニアム世代の吉田。国内ツアーを引っ張る2人に勝った19歳は「ほんっとうにうれしいです!」と無邪気に笑った。【加藤裕一】

◆尾関彩美悠(おぜき・あみゆ)2003年(平15)6月16日、岡山県倉敷市生まれ。ゴルフは7歳から。岡山県作陽高2年の20年にナショナルチーム入り、昨年6月日本女子アマ優勝、同年11月の21年度プロテストでトップ合格。今季は昨年QT58位でツアー出場権を得て、リランキング28位。158センチ、50キロ。趣味は寝ること。師匠は祖父尾関惇美さんと父美成さん。

◆尾関は歴代8位 尾関の「19歳94日」のツアー初優勝は歴代8位の年少記録。トップ3は<1>勝みなみの15歳293日(14年KKT杯バンテリン)<2>キム・ヒョージュの16歳332日(12年サントリー・レディース)<3>畑岡奈紗の17歳263日(16年日本女子オープン)。

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