2位から出た山下美夢有(21=加賀電子)が逆転で今季4勝目を上げ、年間女王が決定した。

強風と雨の中、なかなかスコアが伸ばせない展開で、1バーディー、ノーボギーの71。後半の15番パー5でバーディーを奪い、首位を走った上田と、3位から3バーディー、1ボギーと追い上げてきた岸部の3人が12アンダーで並ぶ展開。それでも、16番で上田がダブルボギーで脱落。17番で岸部がボギーで単独首位に浮上。最終18番パー4では、3メートルのパーパットを決めて、優勝を勝ち取った。

21歳103日の年間女王は07年の上田桃子の21歳156日(当時は賞金女王)を抜き、史上最年少。

優勝インタビューでは「18番ではめちゃめちゃ緊張していた。最後のパーパットは思い切って打ちました」とほっとした表情で話した。表彰式では「ここ(グレートアイランドクラブ)では新人戦の時にすごく悔しい思いをして、去年も上位で戦ったんですけど勝てなくて、今年は絶対優勝したいと思っていたので、優勝できてとてもうれしい」と喜びを語った。さらに「本当にここまで強くなれたのは、たくさんの応援があったから」と涙を流し「これからもっと強くなれるよう頑張りたい」と決意を口にした。

◆今大会で山下が達成した記録 20歳103日での年間女王は史上最年少。従来の最年少記録だった07年上田桃子の21歳156日を53日更新した。今大会の優勝で、今季の獲得賞金は2億円突破の2億327万967円。コロナ禍で20-21年統合で歴代最多52試合で争われた昨季は、賞金女王の稲見萌寧ら3人が2億円を超えたが、単年での突破は15年イ・ボミ(韓国)に次ぐ2人目で日本人初。生涯獲得賞金も3億783万4181円とし、史上88人目の3億円突破。また現在のツアーメンバーで最も小柄な150センチは、歴代年間女王の中でも最も小さい。これmで最も身長が低かったのは、横峯さくらと鈴木愛の155センチだった。

<山下美夢有(やました・みゆう)>

◆生まれ 2001年(平13)8月2日、大阪・寝屋川市生まれ。

◆サイズ 150センチ、52キロ。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の資料では、150センチは現在のツアーメンバーでは西村優菜と並び最も低い。ただしテレビ番組の企画で実際に身長を測定した際、山下は150・3センチで西村が149センチ。熱心なファンの間では西村よりも大きい認識。

◆競技歴 5歳の時に、同じくゴルフを始める父勝臣さんに連れられて練習場に行ったのがきっかけ。大阪桐蔭高3年だった19年、全国高校選手権女子個人戦で優勝。受検資格が1歳引き下げられた同年のプロテストに合格し、笹生優花、西郷真央と並び、史上初めてプロテストに合格した女子高生となった。昨年4月のKKT杯バンテリン・レディースでツアー初優勝。今季は5月の国内メジャー、ワールド・サロンパス・カップを皮切りに4勝。

◆名前の由来 「美しい夢を持ってほしい」という意味と、母有貴さんから「有」の1字を譲り受けた。

◆家族 両親と弟、妹。近大2年の弟勝将は、アマチュア日本代表のナショナルチームの一員。9月に国内男子下部ツアーで、史上7人目のアマチュア優勝。中学3年の妹蘭さんは今春にゴルフを始めたばかり。

<メルセデス・ランキング> 

女子ゴルフの国内ツアー、ならびに米ツアーのメジャーの順位をポイントに換算し、年間を通じての総合的な活躍度を評価するランキング。各大会の1位に与えられるポイントは、3日間大会が200、4日間大会が300、国内メジャーが400、メジャーが800。年間1位に付与されるシード権が、昨季は3年だったが、今季から4年となった。年間50位までに与えられるシード権が、19年までは賞金ランキングのみで、20-21年統合の昨季は賞金&メルセデスの両ランキング。今季からメルセデスに一本化された。最年少での年間1位は、19年の渋野日向子の21歳16日だが、同年は賞金ランキングに次ぐ位置付けで「年間女王」という扱いではなかった。

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