今季の国内女子ゴルフツアーが終了した。山下美夢有(22=加賀電子)が史上8人目の2年連続年間女王に輝き、同時に史上初となる2年連続年間獲得賞金2億円超え、2年連続平均ストローク60台の大偉業もやってのけた。なかでも、今季の平均ストローク69・4322は昨季を上回り史上最小。大記録達成の裏に山下の正確なショットがあるのは間違いないが、データから見えてきたものとは? 【取材・構成=阪口孝志】

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過去に平均ストローク60台を達成したのは19年の申ジエ(69・9399)と22年の山下(69・9714)のみ。山下は史上初の2回目の60台を2年連続、しかも最小値で達成した。

身長150センチの山下の武器は再現性の高い精密なショットと言われる。コーチを務める父の勝臣さんは「ショットの精度は去年より上がってる。ショットが良いからパットも入る」。エースキャディーの松村卓キャディーは「フェアウエーウッドやユーティリティーが抜群にうまい」という。他の選手より2打目の距離が残ってもピタッと寄せる。「データを見ながら何度も練習した結果、身についてるんやないかな」。

山下がプロ入り後すぐに約300万円する弾道計測器「トラックマン」を購入したのは有名な話。実際にどんなデータが浮かび上がるのか。山下を支える用具の使用契約を結ぶ住友ゴム工業株式会社の鎌田将太氏に分析してもらった。

まずは「クラブパス」。インパクトの瞬間のヘッドの向きを示す数値で、他のプロと比較して数値の幅が少ないという。「山下プロはドローヒッターなのでインサイドから入る数値を示していますが、各ショット、角度の差にブレがなく、ほぼ同じ軌道で入ってきていることを表してます」。 続いては「スマッシュファクター」。ヘッドスピードをボールに効率よく伝えているかを表す。ミート率という名前の方がなじみがあるかもしれない。ボールスピード÷ヘッドスピードで数値化され、アマチュアは1・4出れば良い方。ヘッドスピードの速い男子プロは意外と高い数値が出にくい。「山下プロはどのショットでも1・52とか出てます。ここまで高い数値は芯に当てる彼女の能力と、ヘッドの反発性能がもろに出る数値なので、その相性がうまくマッチしていると思います」。山下のヘッドスピードは毎秒40メートルほどだが、今季の平均飛距離は238・30ヤード。いかに効率よくエネルギーをボールにぶつけているかが分かる。

最後に「スピンコントロール」。アイアンの縦距離を左右する。「7番アイアンのバックスピン量が5300rpm(1分あたりの回転数)あたりで一定しています。また、入射角も安定しているので、毎回同じような弾道、キャリーを実現している。縦距離のばらつきがなくなり、ヤード刻みでのショットにつながっています」。

山下はあまり道具を変えず、今年もユーティリティーのシャフトを変えた程度だという。再現性の高いスイングを相性の良いクラブが引き出し、大偉業につながったと言えそうだ。