2位に1打差の首位から出た岩井千怜(21=Honda)が5バーディー、ボギーなしの67と5つ伸ばし、大会コース新記録となる通算18アンダー270でツアー通算5勝目を挙げた。元日の能登半島地震に心を痛め「元気を届けたい」と、被災者に思いをはせてきた中、有言実行で開幕戦を制した。現在66位の世界ランキングを上げて今年最初のメジャー、シェブロン選手権(4月18日開幕、米テキサス州)、さらには大逆転でのパリ五輪出場もあきらめていない。

右手を突き上げた。ウイニングパットを決めた岩井千は、緊張感から解放され満面の笑みを見せた。それでも表彰式では、感極まって涙も流した。「ホッとした。最後まで気持ちを切らさず、よかった」と、昨年6月のサントリー・レディース以来の5勝目、初の開幕戦優勝をかみしめた。

前日第3日までの1打のリードは、あっという間になくなった。出だしの1番で2位の西郷がバーディー発進し、並ばれた。それでも「どこかで追いつかれるのは分かっていた」と動じなかった。直後の2番パー4で、岩井千はピン奥5メートルから下りの難しいパットを決めて最初のバーディー。再び単独首位に立った。3番で再び西郷に並ばれ、7番パー5では第3打を互いに1メートル前後につけ、そろってバーディー。一進一退のつばぜり合いが続いた。

勝負を分けたのは15番だった。14番で伸ばし、1打リードの岩井千は15番のバーディーパットを「寄せに行った」という。「攻めまくった」という18ホールで唯一、ブレーキをかけて高難度グリーンでパー。対する西郷はボギーとし、2打差に広げた。17番でさらに伸ばし、とどめを刺した。

勝ちたい理由があった。父雄士さん(51)は「もしかしたら五輪。近い目標は2人そろってシェブロン選手権出場」と、双子の姉明愛とともに、今季最初のメジャーと今夏のパリ五輪出場をあきらめていないと明かした。最新世界ランキングは姉が36位で岩井千が66位。シェブロン選手権出場には、今月18日時点で世界ランキング40位以内が必要だけに、妹は最低でも1勝は必要だった。2枠の五輪代表も現在日本人8番手。ただ大逆転で東京五輪切符を手にし、勢いに乗って銀メダルを獲得した稲見萌寧も、当該の21年同時期の世界ランキングは63位だった。

大会中、何度も「元気を届けたい」と話していた。2月には能登半島地震の被災者に、バーディー数などに応じて募金する「スマイルプロジェクト」を発表。代名詞の笑顔で、最高の結果を飾った。【高田文太】

◆女子ゴルフのパリ五輪代表選考 6月24日付の世界ランキングに基づく、五輪ランキングで出場60人が決まる。各国上位2人に出場権が与えられ、世界ランキング15位以内に3人以上いる国は、最大4人まで出場権を得る。日本女子は最新世界ランキングで畑岡奈紗が17位、古江彩佳が20位で、現状はこの2人が代表圏内。22位で山下美夢有、26位で笹生優花が続く。さらに岩井明、桜井心那、西郷が名を連ね、岩井千は66位で8番手。ただしメジャーで好成績を挙げれば、大幅アップが見込まれる。

岩井千怜、涙の開幕戦初V 西郷真央から祝福のハグ/女子ゴルフ最終日写真特集3