終盤の劇的な逆転で、阿部未悠(23=ミネベアミツミ)がツアー初優勝を飾った。首位から出て8バーディー、1ボギーの65と7つ伸ばし、通算15アンダー、201。2打差を追う14番から4連続バーディーで、同じく首位から出て完全優勝目前だった、佐久間朱莉を1打上回った。この日の65と3日間通算201は、ともに大会コース新記録。00年度生まれの「ミレニアム世代」では、古江彩佳、西村優菜、吉田優利に次いで4人目の優勝となった。

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諦めない気持ちが阿部の背中を押した。11番パー4はミスを連発して4オン。7メートルのボギーパットを残していた。それでも「昔から根拠のない自信があった」という強気な性格でねじ込み“ナイスボギー”。首位佐久間との差を射程圏の「2」にとどめると「ここからだぞとエンジンがかかった」。12番パー5で第3打を2メートルにつけて伸ばすと、14番からはさらにショットがさえ、4連続バーディー。17番でついに単独首位浮上。18番のピンチをパーでしのいで初優勝し、表彰式では涙があふれた。

「3日間、自分のゴルフに集中できて楽しかった。『楽しい』と思って優勝争いしたのは初めて」。バーディー発進したが、同組の佐久間がその上を行くイーグル。終始、追いかける展開だった。一時は1つ前の組で回る蛭田ら2人にも抜かれて4位に後退。それでも出身の北海道で培い、身上とする「諦めない気持ち」が、再浮上させた。

趣味はカメラで、時間をつくっては北海道で野生の鳥や動物を撮影する。幼少期から知り合いの写真愛好家と北海道の森に出かけた影響だ。今やフクロウ、オオワシなどターゲットに、撮影できるまで4時間も氷点下の寒空で待つほど。「ゴルフに通じる」と我慢と粘りを身に着けた。

中学入学に際し、ゴルフ歴2年、当時ベスト80台の中盤にして「将来、プロになる」。持ち前の根拠のない自信から練習環境を求めて福岡にゴルフ留学した。母早苗さん(50)は「マイナス10何度でも嵐でも外で練習していた」という熱心な姿勢に、夫と別々で暮らすことになるが同行した。だからこそ母も「涙が出ます」と感激。阿部は「初優勝もしていないけど、今年の目標は複数回優勝だった」と明かした。根拠のない自信が次の1勝へと導く日は近そうだ。【高田文太】

初優勝に笑顔はじける阿部未悠 涙の佐久間朱莉に岩井姉妹寄り添う/女子ゴルフ最終日写真特集3>>