<第86回箱根駅伝>◇3日◇復路◇箱根-東京(5区間109・9キロ)

 往路8位の駒大が復路を制し、総合2位で復活を果たした。2000年以降4連覇を含む6度の総合優勝を誇った強豪は、昨年総合13位で13年ぶりにシード権を失った。今大会も往路で1区がブレーキとなり出遅れたが、山下りの6区で千葉健太が、1年生としては39年ぶりに同区間で区間賞を獲得。9区の高林祐介主将(4年)も区間賞の走りで順位を上げた。全10区間で1年生が4人占め、来年以降の「新黄金時代」到来を予感させた。

 往路8位と出遅れた駒大の嫌な流れを変えたのは、165センチ、50キロの小さな1年生だった。往路優勝の東洋大のスタートから7分16秒後、千葉は山下りの6区を快調に飛ばした。上位とは距離が離れていたため、2人抜きにとどまったが、総合4位を走っていた明大にわずか5秒遅れの6位でタスキを渡した。「狙っていた」という区間賞は、6区の1年生では71年日体大の今野秀悦以来、39年ぶりの快挙だった。

 2日は1区を同じ1年生の後藤田が走ったが、18位と出遅れた。大八木監督は、経験不足の1年生に1番手を任せる危険性を痛感したはずだった。それでも練習を通じて「山下りの適性があった」と絶大な信頼を寄せていた。設定タイムより約40秒も速い59分44秒で20・8キロを駆け抜け、上昇気流に乗せた。

 7区からの4人も全員が区間4位以内と好走した。9区で区間賞の高林主将は「ずっと『強い駒沢を』と言ってきた。復路優勝で少しはそれを見せられたと思う」と胸を張った。

 11月の合宿初日、選手たちは大八木監督からタスキをつなぐ意味などを説かれた。2区3位のエース宇賀地は「ショックだった。そんなことを言われないといけないチームになってしまったのかと」と振り返る。昨年までの10年間で6度も総合優勝したが、昨年、13年ぶりにシード権を失う13位に低迷した。現状を思い知らされ、目が覚めた。

 宇賀地は自身の走りを定期的にビデオ研究した。5区4位の深津は11月に「これでみんなの気合が入ってくれれば」と、大学入学時以来となる丸刈りにした。4年生が率先して箱根駅伝にかける態度を示し、下級生たちを引っ張った。どん底からはい上がってきた。

 大八木監督は「常に『優勝』の2文字が期待されてきた。復路優勝はプライドで取りにいった」と振り返る。誇りを取り戻し、10区間中4人も1年生が走った駒大が来年は東洋大の連覇阻止に挑む。【高田文太】