<F1:マレーシアGP>◇決勝◇24日◇セパン・サーキット◇1周5・543キロ(56周)

 後味の悪い勝利だった。レッドブルのセバスチャン・フェテル(25=ドイツ)は、先頭を走る同僚マーク・ウェバー(オーストラリア)の後ろにいた。チームからは、そのままポジションをキープしろとの指示が出ていた…はずだった。

 だが、史上3人目の4連覇を狙う王者は、46周目に強引に仕掛けた。1つめのターンで前に出る。車体がぶつかり合う中、次のターンでウェバーが再逆転したが、4つめのターンの立ち上がりで一気にスパートを掛けた。行き詰まるバトルの末に今季初勝利、ジャッキー・スチュワート(英国)に並ぶ史上6位タイの通算27勝目を挙げた。だが、ウェバーは怒り心頭だった。

 遺恨が残るレースに、フェテルは「チームからの指示を無視したわけではないんだ。チームから受けたメッセージを誤解してしまった。バトルを続ければ、お互いにタイヤをダメにして、2台とも下位に沈んだ可能性だってあった。僕のやったことに対して、マーク(ウェバー)やチームが不満を覚えていることは理解できる。彼らに説明して、話し合いたい」と、複雑な表情で釈明していた。