新国立競技場の建設費が2520億円に高騰した問題に関連し、次世代の党の松沢成文参院議員が14日の参院連合審査会で、森喜朗・2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長を名指しして、「森さんをいさめたり、進言する人が誰もいないことが、今のスポーツ界における最大の危機だ」と訴えた。

 組織委員会会長に加え、先月まで日本ラグビー協会会長を務め、政界引退後も、政界、スポーツ界で存在感を示す森氏。松沢氏は、その森氏に国会議員もスポーツ界も物が言えない状態だと危機感を示す中で、「あえて発言する」と前置きし、持論を展開した。

 松沢氏は、新競技場で19年にラグビーW杯、20年に東京五輪を開く、現行計画の見直しを要求。特に、ラグビーW杯を代替施設で行えば、新競技場の工期が約10カ月伸び、整備費も節減できるとの持論を示した。

 その中で、今月7日、新競技場をめぐり開かれた有識者会議に触れた際「議事録を読んだが、森さんがいるから、だれひとり、(計画を)考え直すべきと言う人がいなかった」と指摘。遠藤利明五輪相と下村博文文科相に対し、「今の(計画の)状況は危険だと、(森氏に)説明してほしい。安倍首相と舛添(要一)都知事と(森氏の)5人で、政治決断をしてほしい」と要請。「そうしないと、五輪もW杯もうまくいかず、後に残るのは膨大な負の遺産になりかねない」と訴えた。

 これに対し、遠藤氏は「示唆に富むいろんなご意見を頂いた。『二兎(にと)を追う者は一兎も得ず』ではなく、二兎を得ていく努力をしたい」と述べた。

 松沢氏は、森氏と同じラガーマン。民主党の衆院議員時代には、森氏とラグビー議員連盟でともに活動したこともある。

 一方、生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎共同代表は14日の会見で、新国立競技場の問題に関する質問に、「誰のための五輪か、はっきりしたということ」と述べた上で「『森喜朗記念競技場』の話だと思いますが。何のためにそこまでお金をかけるのか」と指摘。政府の対応を批判した。