最多20回の優勝を誇る能代工(秋田)が、第1クオーター(Q)の最大11点差をひっくり返して、2年連続8強入りした。北陸(福井)の体力を前半で奪い、後半に走り勝つ作戦がはまった。第3、4Qに計53点を取って下した。

 名門の底力だ。4点を追う第4Q。反則を犯すことに注意しながら、5人全員がコートを動き回った。両チーム最多31得点の小室望海(3年)が胸を張った。「最後まで走り抜いて勝つことができた」。苦手としていた外国人留学生を擁するチームを逆転した。

 守備では厳しいプレッシャーをかけた。攻撃は素早いパス回しや走り回ることで北陸を焦らせ、2選手をファウル5つで退場に追い込んだ。能代工の動きは最後まで鈍らない。栄田直宏コーチ(45)は「スタミナには自信がある。もう1試合できるよ、と言っておこうか」と笑った。前半を我慢して、後半の体力勝負に持ち込む作戦が功を奏した。

 練習開始後30~40分、サーキットトレーニングで下半身を徹底的に鍛える。違う練習メニューへ移る時や、コートの中心に集まる時も常に全力疾走。「40年以上続いている練習のたまもの」と栄田コーチは言う。主力は昨年の8強メンバーで、スタミナに加えて経験値も高い。

 現3年生が1年生の2年前、出場44度目にして初めて1回戦で敗退する屈辱を味わった。小室は「先輩たちが悔しがっているのを見た。先輩たちの分までです」と言葉に力を込めた。04年を最後に遠ざかる日本一。ベスト8は名門復活への、まだ通過点だ。【久野朗】