逆襲の切り札はリーチの親友だ! 神戸製鋼SOイーリ・ニコラス(27)が10日コカ・コーラ戦(石川西部)で移籍後初先発することになった。8日は神戸市内で練習を行い、試合48時間前の午後6時にメンバーが発表された。前節は王者パナソニックに6-30と完敗。巻き返しのキーマンとしてイーリは「ボールを回すのが好き。外には(WTBの)フレイザーや(山下)楽平がいる。そういう選手に早く渡したい」と決意を語った。
神戸製鋼2季目。昨季わずか23分の出場だったイーリに訪れた大チャンスだ。ニュージーランド人の父と日本人の母を持ち、北海道で生まれた。昨年W杯日本代表主将リーチ・マイケル(27=東芝)の運命を変えたのも、実はこの男だ。
幼少期を北海道で過ごし、5歳でラグビーを始めるとニュージーランドへ。誕生日が1週間違いで同い年のリーチとは、10歳の時に現地で出会った。リーチと共に同国のセントビーズ高に入学。その後、祖母のいる札幌へ1年間の留学を決断した。セントビーズ高と交流のある札幌山の手高での生活が始まると、同校関係者から問われた。
「誰かいい選手を知らない?」
イーリは即答した。
「リーチ・マイケルという友達がいます」
そのやりとりから約3週間後、ニュージーランドからリーチがやってきた。イーリは笑って振り返る。「一番仲が良いのがマイケルっていう理由で…。もちろん、ラグビー選手としても素晴らしかったですし」。1年間、札幌山の手で共にプレー。留学期間が終わると、イーリはリーチを残してニュージーランドへと戻った。
セントビーズ高の部員は約400人。最初は3軍だったが、3年時にはSOとして1軍で活躍した。卒業後は拓大に入学。11年にパナソニック入りし、主にSHとしてプレーも「試合に出たくて神戸に来た」。昨季は「自分が神戸のラグビーを信じ込めていなかった」と新天地での切り替えに苦労した。
親友のリーチは今や、ラグビー界以外にも知られる有名人だ。イーリはW杯で躍動する親友の姿に刺激を受けた。「(大々的に取り上げられるのが)マイケルで良かった。マイケルは努力してきた人。日本代表をという前に、個人的にマイケルを応援していました」。その上で自分の立場を冷静に語る。「パナソニックにいるときは『日本代表になりたい』と思っていた。でも、その夢は(当時より)遠くなった。目の前のことしか見ていません。それより(自分の)子ども2人に尊敬される人になりたいです」。軽々しく「日本代表を目指す」という言葉は口にしない。
1勝1敗で迎えるコカ・コーラ戦。転機となる一戦に向け、ジム・マッケイ・ヘッドコーチ(49)は「コミュニケーション能力が素晴らしい。まだ成熟していないチームの中で必要」とイーリ先発起用の理由を説明した。前節までSOだった新助っ人コディ・レイ(27)を今節はFBに配置転換。グラウンドを広く使う今季のスタイルを「司令塔イーリ」が体現する。
◆イーリ・ニコラス 1988年(昭63)10月14日、北海道・札幌市生まれ。5歳でラグビーを始め、ニュージーランドへ。セントビーズ高を経て拓大。11年にパナソニック入りし、同年10月29日サントリー戦でデビュー。日本代表田中とSHを争った。オタゴで1シーズンプレーし、15年に神戸製鋼入り。家族は日本人の妻と2男。180センチ、90キロ。


