フィギュアスケート男子の世界最高記録保持者、羽生結弦(21=ANA)が13日、カナダ・トロントで練習を公開し、今季のショートプログラム(SP)とフリーを初公開した。

 SPは、プリンスの「レッツゴークレイジー」。昨季までのピアノ曲から一転、アップテンポの曲で新境地に挑む。また、ジャンプでは、冒頭にまだ誰もISU(世界スケート連盟)公認の試合で成功したことのない4回転ループを組み込む。さらに4回転サルコー、3回転サルコーの連続技、3回転半(トリプルアクセル)と続く高難度の構成となる。この日は2度曲を通し、3つのジャンプをそろえることは出来なかったが、うち1回で4回転ループを成功させた。羽生はSPについて「見ている人が楽しめるプログラムだと思う。1つ1つの音、声に注意を傾けながら滑っていきたい」と意欲をみせた。

 フリーは、久石譲作曲の2曲を編集した「Hope&Legacy」。「クラシカルな曲で、さらに日本人の方が作曲したということで和のテイストも含まれている。『バラード』で培った音の取り方と『SEIMEI』で学んだ表現をさらにグレードアップさせたものにしたい」と、昨季のSP、フリーの良い要素を抽出した内容だ。現段階で予定するジャンプ構成は、4回転ループ、4回転サルコー、3回転フリップ、(以下得点が1・1倍になる後半)4回転サルコー+3回転トーループ、4回転トーループ、3回転半+2回転トーループ、3回転半+1回転ループ、3回転サルコー、3回転ルッツ。SP、フリーともに、昨季より基礎点が高い内容となり、昨季マークしたSP110・95点、フリー219・48、合計330・43点それぞれの世界最高得点更新も十分ありうる。

 左足甲のケガで氷上での練習は6月からとスタートが遅れ、いまだ完治した訳ではないが「ケガ明けのシーズンとは思っていない」ときっぱり。4回転ループも「入れるからには跳べなきゃ意味がない」と、初戦のオータムクラシック(9月29日開幕)から果敢に挑戦する構えだ。