2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は1日正午、大会マスコットデザインの公募を開始した。東京都台東区の蔵前小学校でカウントダウンが行われ、マスコット審査会座長の宮田亮平文化庁長官が正午に合わせて手製の銅鑼(どら)を鳴らした。締め切りは14日正午。

 12月に最終候補3、4案を公表した後、全国の小学生が1学級単位で投票して採用案を決めることから、イベントには約150人の小学生が参加。宮田氏は「すばらしいものを選ぶのは大人ではない。君たちだ」と呼びかけた。

 各務裕也くん(10)は「4年に1度だから、ちゃんと盛り上がって、今までにないマスコットを選びたい」と意気込んだ。日比彩心(あやみ)さん(11)は「世界の人が喜ぶ東京らしいものが良い」と語り、佐藤大助くん(11)は「日本のものが使われているマスコットが良い」と述べた。山田夏希さん(12)は「東京五輪までやれることは少ないけど、そんな中、マスコットが選べるのはすごいこと」と語った。

 公募開始に先がけ、オリンピアンの杉山愛氏(テニス)とパラリンピアンの田口亜希氏(射撃)が子どもたちにメッセージを送った。杉山氏は小学生の頃を振り返り「学校の後、毎日3時間ほど練習をしていた。でも毎日、練習が楽しいという人はいない。体がつらい日もある。そんな日をいかにうまく練習するかで、他の人と差がグンとつく。つらい時に頑張れることが、選手や大人になった時に生きる」と語りかけた。

 田口氏は25歳で脊髄の血管の病気になり車いす生活となったことを紹介し「それまでは普通に自転車に乗ったり、山に登ったりしていた。でも病気になった後は下に落ちた物すら拾えなかった。ずっとベッドの上で暮らすのかなと思ったけど、少しずつできることを増やしていこうと思うようになった。そしてスポーツをやってみようと思い、射撃を選んだ」と当時を振り返った。

 そして「『私は手がある』『手足はないけど口がある』と、なくしたことを嘆くのではなく、ある部分を生かしているのがパラリンピックだ」と熱いメッセージを伝えた。