31年ぶり3度目の出場の秋田工が、美濃加茂(岐阜)を66-61で下し初戦を突破した。第2Qで相手のゾーンディフェンスを攻めあぐね一時逆転を許したが、広川汰輝、宮野良、片村俊介の3年生トリオが計55得点をたたきだし、試合をひっくり返した。両親、姉に続き全国大会出場を果たした宮野はうれしい全国初勝利となった。

 第4Q、家族の思いを背負った宮野が、均衡を破った。相手の3点シュートで52-50と追い上げられた場面で、得意のドライブで相手守備を崩した。「相手が大きかったので隙も少なかったが、弱気になっては勝負にならない。強気で攻めました」。カットインから強引にポイントを奪うと、相手ファウルを誘発。フリースローを冷静に沈め流れを呼び込んだ。終了の瞬間は歓喜の雄たけびを上げ、家族が見守るスタンドに向かいガッツポーズを繰り返した。

 「硬くなってしまいシュートも消極的になってしまった。チームの雰囲気も悪くしてしまった」。第2Qで、自らのフリースロー失敗から相手に流れを引き渡してしまった。7点リードしていたが、5連続で得点を許し28-30と試合をひっくり返されてしまった。「お前の身長とスピードがあれば、ドライブでアタックすれば得点にならなくてもファウルで点を奪える。思い切りやってこい」。父良治さん(51)のアドバイスを思い出し、自ら招いたピンチを帳消しにした。

 父良治さんは同校OBで、33年前に全国初出場したメンバー。やはり聖和学園(宮城)で全国出場経験のある母江身さん(46)と一緒に観戦に訪れていた。姉の茉恵さん(20)も湯沢翔北で全国出場しており、宮野家の輝かしい栄光を、見事に継承した。父良治さんは「試合会場が娘が2度負けたDコートでトラウマがあったけど、第4Qでカットインを2本決めてくれた。あれは大きかった。感動しました」と健闘をたたえた。

 今日26日の3回戦で、今夏高校総体8強の広島皆実と対戦する。宮野は「相手は強くて大きいけど、強気に挑みたい」と、初のベスト8進出を見据えた。【下田雄一】