国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(64)は4日、韓国・平昌(ピョンチャン)で開かれた理事会後に会見し、ボクシングを東京五輪の実施競技から除外する可能性を明らかにした。国際ボクシング協会(AIBA)が犯罪組織との関連が疑われるガフール・ラヒモフ氏(66)を新会長代行に選出したことや不可解な判定による八百長疑惑などを問題視したもの。100年以上実施されてきた五輪の「伝統競技」が、東京大会で消滅する可能性が出てきた。

<ラヒモフ氏とは>

 ボクシング選手、指導者として活躍したラヒモフ氏は91年のウズベキスタン独立後、貿易商として成功した同国を代表する実業家。アマチュアボクシングの世界でも重要なポジションを歴任した。

 一方で、麻薬密売など裏世界との関わりも指摘されている。米財務省は12年、ロシア系犯罪組織「ブラザーズ・サークル」の主要メンバー7人らに金融制裁を科したが、そのうちの1人がラヒモフ氏だった。中央アジアを中心に非合法な取引をし、ヘロイン売買にも関与しているという。

 ボクシングは人気、実力ともにウズベキスタンを代表するスポーツ。96年アトランタ大会から参加する夏季五輪でも金メダル8個のうち4個はボクシングで手にしたものだった。ラヒモフ氏はボクシングを背景に同国スポーツ界でも確固たる地位を築き、01年には同国オリンピック委員会の副会長に就任していた。