世界44位の大坂なおみ(20=日清食品)が世界1位を破る快挙で、ツアー初優勝に王手をかけた。シモナ・ハレプ(ルーマニア)に6-3、6-0。日本女子が世界1位から勝利を挙げたのは、96年に伊達公子が国別対抗戦フェド杯でグラフ(ドイツ)に勝つなどして以来、22年ぶり史上2人目で3度目。決勝では準決勝で元世界1位のV・ウィリアムズ(米国)を破った同19位で、同じ20歳のカサキナ(ロシア)と対戦する。

 強すぎる!! 大坂がわずか64分で世界1位を圧倒だ。圧巻は第2セットの完封で、日ごろはクールな20歳も勝利の瞬間、思わず左手をぐっと握りしめた。「とてもハッピー! できるだけ多く返球しようと頑張った」。完全にパワーでハレプを粉砕した。

 ハレプには3戦全敗だったが、1月の全豪4回戦でストレート負けした反省を生かした。「(全豪は)凡ミスが多かった。今日は、少しでも長くラリーをしようと心がけた」。守るところは守り、攻めるところは攻めるメリハリをつけたプレーを徹底。第1セットだけでタフな相手の心を折り、もう勝てないと思わせた。第1セット3オールから、驚異の9ゲーム連取で勝負を決めた。

 1回戦で元世界1位のシャラポワ(ロシア)にストレート勝ちして波に乗った。2回戦は元世界2位、5回戦では元世界1位で現5位を撃破。そして、現女王にも土をつけた。96年の伊達はフェド杯でグラフを下し、ツアー最終戦でセレシュ(米国)に途中棄権で勝っている。大坂はツアー個人戦で、最後まで試合を行い世界1位を倒した初の日本女子となった。

 そんな快挙にも満足はしない。徹底した完璧主義者だ。第1セット先取後、ベージン・コーチをコートに呼んだ。不満顔の大坂にコーチが「どうした?」と問いかけると「動きが硬い」。コーチから「世界1位に1セット取ってるんだ。いい感じだよ」となだめられ、ようやく笑顔が広がった。貪欲さが成長の証しだ。

 決勝のカサキナとは初対戦だ。実は大会前に股抜きショットを教わった“師匠”で、習得したお礼を勝利で返したいところ。19日発表予定の最新世界ランクで自己最高の20位台半ばまで躍進する。現役の日本女子の最高位は土居美咲がマークした30位。現役最高位を確定し、4大大会に次ぐクラスの大会で日本女子初優勝に王手をかけた。