「静と動」を学べ-。柔道男子日本代表が18日、都内の遠州茶道宗家で「茶道稽古」に初挑戦した。

 16日から強化合宿中の選手15人は茶室で、茶道と“真剣勝負”した。約440年の伝統がある遠州茶道家の13世家元の次女、小堀宗翔さん(28)指導のもと、お辞儀の仕方や茶の器の持ち方など一連の所作を学んだ。世界選手権(9月、アゼルバイジャン)代表の66キロ級阿部一二三(20=日体大)は「試合でも落ち着いている時が一番自分の良い柔道が出来る。この経験を柔道のヒントにしたい」。同代表の60キロ級高藤直寿(24=パーク24)は「礼儀など柔道と結びつくものを感じた」と日本の伝統文化に触れ、「和の心」を習得した様子だった。

 茶道教室は精神集中と高いモチベーション維持などを目的に強化スタッフが発案。昨年は陶芸教室だった。男子の井上康生監督(39)は「世界と戦う上で日本文化を知ることは重要。結びつくものもあり、逆の世界を知ることで何か得られるはず」と期待を寄せた。ラクロスの日本代表としても活躍した小堀さんはアスリートの心情を理解した上「『静と動の気持ち』が大切」と心構えを伝えた。茶道の「静」と柔道の「動」を組み合わせることで一層の成長を促すという。

 緊張感が漂う、静まり返った茶室でサプライズもあった。アシスタントとして遠州流師範のルー大柴こと大柴宗徹さん(64)が参加。教室後には「『ストーンの上にもスリーイヤーズ』と言うけど、作法も大変。ベリーディフィカルトだよ。トゥギャザーしようぜ!!」と、“ルー語”で記念撮影を呼び掛け、選手も充実感に満ちた表情を見せていた。【峯岸佑樹】