世界選手権王者で、3年ぶり出場の男子シングルス桃田賢斗(24=NTT東日本)が、コシット・フェトラダブ(タイ)を2-0で下し、日本男子初の優勝を果たした。女子ダブルスでは、世界ランク1位の福島由紀(25)広田彩花組(24=ともに岐阜トリッキーパンダース)も初優勝。20年東京オリンピック(五輪)会場で初の日本勢2種目制覇の快挙を成し遂げた。

サーブを打つ桃田の手は震えていた。「それぐらい勝ちたいという気持ちがありました」。体力の限界を感じ、あと2点、あと1点と数えながら、最後にスマッシュを決めると、疲れとうれしさで思わずコートにしゃがみこんだ。

「世界選手権より勝ちたかった」。それだけ思い入れがあった。ジャパン・オープンは日本で行われる唯一の国際トップクラスの試合。リオ五輪直前の16年4月に違法賭博が発覚。処分期間を経て、3年ぶりにこの舞台に戻ってきた。この日は、その間に支えてくれたNTT東日本のチームメート、社員、香川にいる家族らが観客席で見守っていた。終始「モモタコール」を送った満員の観客にも深くおじぎした。「みなさんの前で成長した姿を見てもらえたので、うれしい気持ちでいっぱい」と声を弾ませた。

これが20年東京五輪会場で初めて開催された国際大会だった。「ここで優勝でき、縁起のいい体育館になった」と喜ぶ一方、「来週も大会があるので、先を見ずに自分ができることを発揮していきたい」と気を引き締めた。目指すバドミントン界のレジェンドになるには「まだまだ」。日本での大きな1勝を胸に、もっと強くなる。【高場泉穂】