新星の台頭だ。男子500メートルで新浜立也(22=高崎健康福祉大)が自己ベストの34秒76で初優勝を果たし、初となるワールドカップ(W杯)代表の座を確実とした。183センチ、89キロの体格から繰り出すダイナミックなスケーティングで、上位5人が34秒台の混戦を制した。女子3000メートルは高木美帆(24=日体大助手)が大会新の4分06秒53で3連覇、同走の佐藤綾乃(21=高崎健康福祉大)は4分08秒64で2位だった。

平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)明けのシーズンで、若手の新顔が存在感を示した。表彰台の真ん中に立った新浜は「うれしいの一言ですね」。北海道別海町出身の大型スプリンターが、自己ベストを0秒03上回る34秒76をたたき出し、上位5人が34秒台のハイレベルの激戦を制してみせた。

183センチ、89キロの体を生かしたダイナミックなスケーティングが持ち味。出番の4組前で高校からのライバル山田将矢(22=日大)が自己ベストを出す姿を見て「自分もやってやんないと」と燃えた。スタートでバランスを崩したが、すぐに立て直し、力強い滑りでフィニッシュした。年内のW杯前半戦の代表選考を兼ねたレースで平昌五輪5位の山中らを抑え、「今の全力を出し切れた」と笑みを浮かべた。

昨季の平昌五輪選考会では自己ベストながら4位。大舞台に届かなかったが「悔しさはなかった」と切り替えた。今夏は日本連盟の強化選手としてナショナルチームの練習に参加。トップ選手が集まる環境に刺激を受けた。「前はこのくらいで練習はいいかなって弱気だった時もあったけど今季は1日もない」。皮下脂肪はナショナルチーム内で最も低い約6%を保っているという。

実家はオホーツク海に面する別海町。幼い頃は「毎日のように、休日は12時間くらいカレイを狙っていた」というほどの釣り好き。釧路商卒業後、群馬にある大学に進学し「スケート以外一切考えない」と大好きな釣りを封印して競技に集中している。W杯代表は最終日の選考会議を経て発表されるが、今季目標に掲げる初代表の座をたぐり寄せた。「世界の雰囲気を自分は感じられていない。W杯までの期間は今出た課題を修正して臨みたい」。22年北京五輪に向けて最高のスタートを切った。【西塚祐司】

◆新浜立也(しんはま・たつや)1996年(平8)7月11日、別海町生まれ。3歳からスケートを始める。別海野付中3年の全国中学500メートル6位。釧路商3年時に高校総体500メートル、1000メートルの2冠、全日本ジュニア選手権1000メートル優勝。高崎健康福祉大では昨季のインカレ500メートルで2連覇。家族は両親と姉、兄。183センチ、89キロ。