「バスケの街」に集ったブースターを熱狂させた。年1度(2連戦)の秋田県能代市開催で、秋田ノーザンハピネッツ(東地区)が、75-67と中地区首位の新潟アルビレックスBBを破り、金星を挙げた。高い攻撃力を誇る相手に堅固な守備を披露。攻撃では保岡龍斗(23)と下山大地(29)が3点シュートを2本ずつ決めるなど、チーム9本と量産して勢いをつけた。今季最多の1試合11本には及ばずも、3ポイント決定率は今季最高の39・1%を記録。連敗も2で止めて東地区最下位も脱出し、巻き返しへの手応えを得る大きな1勝をつかんだ。

保岡の3点シュートが、勢いを加速させた。第1クオーター(Q)に連続で決めると、ブースター2330人のボルテージも上げた。前日に惜敗した新潟に第1Qで29-12と先手。保岡は「昨季の能代開催では1点も決められなかったので、決められて気持ちが良かった。出だしのアグレッシブさが結果につながった。勝てる試合は全部勝って、B1で優勝したい」。江戸川大(関東2部)時代に得点王&3ポイント王に輝き、昨季は強化指定選手として秋田に加入。新人王にも挑む“ルーキー”イヤーに、最大の武器で存在感を示した。インサイドを追求するペップ・ヘッドコーチ(HC、49)の方針で「3ポイントはフリーで打っても怒られることもある」と苦笑いするが、体力面も含めた攻守の成長で信頼を得ている。

第2Qを8連続失点で終えた雰囲気を変えたのも、今季新加入の下山大が第3Qで決めた3点シュート2発だった。「シューターとして3ポイントには自信を持っている。苦しい場面で決められたのが成長できている部分」。コート上でガッツポーズする闘志は仲間にも広がった。

前日は攻守ともにミスも目立ち、前夜には指揮官のカミナリが落ちた。試合前には故郷スペインの内戦を題材に、闘争心や勝利への執着心を説かれた。5ファウルで途中退場したジャスティン・キーナン(30)は3点シュート3発を含む、両チーム最多27得点で汚名返上。中山拓哉(24)も10リバウンド10アシストと勝利を導いた。

次節は三河とホームで対戦する。同HCは「歴史あるバスケの街で勝てたことがうれしい。求めていた情熱、勝利への姿勢が出た。秋田は勝ち続けられるチーム」。全国大会58冠の能代工のような「走るバスケ」の魂で、ハピネッツも上位進出に挑む。【鎌田直秀】