新エースだ。W杯参戦4季目の小林陵侑(22=土屋ホーム)が、個人第2戦に続き2連勝を飾った。1回目140メートルに続き、2回目に最長不倒の147・5メートルを飛び合計310・4点。2月の平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)でノーマルヒル優勝のアンドレアス・ウェリンガー(ドイツ)、ラージヒル金メダルのカミル・ストッフ(ポーランド)を2、3位に抑えた。小林の兄潤志郎(雪印メグミルク)は18位、46歳の葛西紀明(土屋ホーム)は38位などと他の日本勢は振るわなかった。
五輪金メダリストを両脇に従えた。表彰台の中央に立ったのは、前日にW杯初勝利を挙げたばかりの小林陵だった。前日は強風の影響で1回勝負となったが、この日は2回とも飛距離、得点がトップの完全勝利。飛距離換算で2位に12メートル以上の大差をつけ「断トツでうれしい」と喜びに浸った。
衝撃的な2回目は、平昌覇者2人が前座となった。ストッフが144メートル、ウェリンガーが145・5メートルのヒルサイズ越え。観衆が沸く中、最後に登場した小林陵が、歓声をどよめきに変えた。ジャンプ台記録に並ぶ147・5メートル。しかも、ただ1人、他の選手より2段低いスタート位置から飛んだ結果だった。
自信はあった。ノーマルヒル7位、ラージヒル10位だった平昌五輪後、オフは主に助走路でのスピードアップに取り組んだ。「言っちゃったらみんな強くなる」と修正点を“企業秘密”にするほど手応えをつかんでいた。練習で飛距離が出すぎ、着地の衝撃で左膝を痛めたほど。今冬は国内2連勝でW杯参戦4シーズン目に突入していた。
個人第1戦は2回目の着地で手をついて減点され3位。1回の飛躍で決着した第2戦も含め「やっとまともに2本そろえて、いい結果が出た」と納得の表情だった。日本男子の個人戦2連勝は、12年3月の伊東大貴以来、7季ぶり。「(今季の出来は)想定以上。今は負ける気がしない」。まだ3戦ながら個人総合トップに立つ。新鋭の勢いは止まりそうにない。
◆小林陵侑(こばやし・りょうゆう)1996年(平8)11月8日、岩手県八幡平市生まれ。5歳で兄潤志郎の影響でスキーを始める。松尾中3年の全国中学で史上2人目の複合、ジャンプの2冠。盛岡中央高3年の国体少年複合は連覇、同ジャンプ2位。15年に土屋ホーム入社。W杯は15-16年シーズンから参戦し、昨季まで個人戦最高は6位。家族は両親と兄、姉、弟。姉諭果もジャンプ選手。174センチ、59キロ。