14日にテニスの今季4大大会初戦、全豪オープン(メルボルン)が開幕する。世界5位の大坂なおみ(21=日清食品)は、昨年の全米を制して以来、初の4大大会挑戦だ。


4大大会2度目の優勝を狙う大坂なおみ
4大大会2度目の優勝を狙う大坂なおみ

大坂は同じハードコートの全豪で全米の再現を狙う。2度目の4大大会制覇のため「倒すべき5人の強豪」を挙げた。


大坂とハレプは、球の直線的な弾道といい、プレースタイルは非常に似ている。ただ、ハレプの方が、球に順回転をかける能力にたけている分、安定感が増す。そして、懐が深い。ただ、対ハレプだけでなく、誰と対戦しても当てはまるが、大坂の切れ味鋭いショットが安定すれば、ハレプでさえお手上げだ。対戦成績は大坂から1勝4敗。18年の米インディアンウエルズで、大坂がツアー初優勝を遂げたときに、準決勝で挙げたのが1度の勝利だ。課題として、精神的に不安定なところを残す大坂にとって、打ち合いに応じる敵の方がバトルになれて気持ちも乗る。その点では、ハレプは、大坂が向かっていける相手かもしれない。


大坂が、初めてトップ10の選手に金星を挙げた相手がケルバーだった。17年全米1回戦で、ケルバーは前年度覇者。負けられないと重圧がかかり、硬くなるケルバーに、大坂は得意のパワーショットを浴びせ、ストレート勝ちだった。ケルバーは、非常に緊張するタイプで、硬くなると、ラケットを振り切れず球の伸びを欠く。それでなくとも、相手の球の威力を利用するカウンターパンチャーだ。ラケットをあまり振らず、あてる角度で球を飛ばすことが多いため、振り抜きが弱い。また、第2サーブにも課題があり、そこを狙われやすい。過去、大坂から1勝4敗だが、自分からのミスを減らせば、最も大坂が勝ちやすいタイプかもしれない。


決してショットに威力があるわけではないが、球のスピードの緩急で、相手を迷わすのがスビトリナだ。どちらかというと、相手をはめるタイプ。大坂は、スビトリナがトップ10以下だった16年までは、それほど苦にしなかった。大坂のショットの威力に、スビトリナがミスをしていたからだ。しかし、17年にトップ10入りして以降、大坂は勝てなくなった。相手のミスが減り、緩急にはまり、大坂が自滅する試合が続いた。ただ、大坂が打ち負けることは少ない相手だ。大型化が進む女子でも、身長174センチと、それほど大きくない。また、緩急を使うが、あまりくせはないスタイル。大坂が集中して打ち抜けば、決して勝ちにくい相手ではない。


元世界女王のプリスコバは、大坂にとって、最もやりにくいタイプかもしれない。過去、大坂から1勝2敗と、対戦数が多くない。そのため、分かりにくいが、プリスコバが当たったときは、大坂以上のショットの威力を秘める。大坂を6センチも上回る186センチの長身からたたき込まれる直線的な弾道のストロークは威力抜群。バウンドしてから滑り、パワーのある大坂でさえ、持ち上げて返球するのは一苦労だ。大坂がツアー初優勝を遂げた18年米インディアンウエルズ大会の準々決勝で勝ったが、全米優勝後の東レ・パンパシフィック決勝では、凱旋(がいせん)優勝を阻まれた。大坂と同じで、ショットの威力はあるが、リスクを伴うタイプ。どっちがミスが少ないかの勝負だ。


大坂が最もあこがれ、18年全米優勝の時に、決勝で破ったのがS・ウィリアムズだ。大坂は、セリーナがいなければ、テニスはやっていなかったとまで言う。パワフルなのは似ているが、実は、スタイルは全く違う。大坂のスイングがムチのようにしなるのに対し、セリーナは腕力で打ち抜くタイプだ。また、体形も、大坂が17年よりも合計10キロスリムになったのとは対照的に、セリーナはいかつく大型化の典型だ。4大大会23度の優勝という歴代でも最高の選手だが、大坂は2勝0敗と負けていない。セットさえ落としていない。17年9月にセリーナが長女を出産。復帰に苦労した時にしか対戦していないため、真のガチンコ対決は19年かもしれない。

◆WOWOW放送 全豪オープン。1月14~27日。連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。