ソフトテニス女子でU17日本代表の原田美結(三重高1年)が、今春入学した高校総体2度優勝の名門で飛躍を目指す。安平追分中3年だった昨年11月、世界ジュニア選手権女子ダブルスU15で優勝。住んでいた安平町で震度6強を観測した北海道胆振東部地震の影響があった中、逆境を乗り越えて頂点に立った。さらなる成長へ、新天地で腕を磨く。

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故郷から約1550キロ離れた三重・松阪市で原田は白球を追っている。6日に入学式を終えると、すぐに同期の新入部員13人と練習を開始。北海道の長い冬の期間は外での練習ができず「早く目いっぱい練習がしたい」と練習欲を募らせていたが、すでにペアを組む1年生も決まった。高校での初戦となる20日のハイスクールジャパンカップ(6月19日開幕、札幌市円山庭球場)三重予選に向けてチームメートと連係を磨いている。

父親の転勤で移り住んだ安平町で競技に出合った。「バスケ部がなくてしかたなく始めたけど、試合で勝つうちに楽しくなった」。安平追分小時代は毎日の少年団活動を終えると、自宅車庫で壁打ちに励んだ。

157センチと小柄だが幼少期にトランポリンとバスケットボールで培った体幹の強さとスピードが持ち味。安平追分中2年でジュニアジャパンカップU14を制すと世代別代表入り。それでも世界ジュニア選手権代表決定は想定外だった。初の国際試合へ準備をしていた昨年9月。地震に見舞われた。

震度6強の揺れの中、真っ先に手を伸ばしたのはラケットだった。停電や断水の影響で地震後5日間は車中泊。その後は親戚が暮らす北見市に身を寄せた。「ソフトテニスがあったので心が晴れた」。約2週間の避難生活でも弟とボールを打ち合っていた。迎えた2カ月後の世界ジュニア決勝では日本代表の別ペアをフルセットで破った。「一生懸命練習してきた成果が出せた」。天災の中でも競技を続けた精神力が、大舞台で力を引き出させた。

男子日本代表監督などを歴任した三重高の神崎公宏総監督(53)は「バネがありミスが少なく堅いプレーができる」と評価する。原田は「まずは三重高でレギュラーをつかみたい。U17にも選ばれたので3年間とぎれないようにしたい」と意気込む。新たな舞台で世界を制した実力をさらに進化させる。【浅水友輝】

◆原田美結(はらだ・みゆ)2003年(平15)4月16日、津別町生まれ。安平追分小1年で競技を始め、6年で全国小学団体3位。安平追分中2年で全道中学団体優勝、ダブルス3位。好きな食べ物はタピオカ。ドラマ鑑賞が趣味で最近のお気に入りは「トレース~科捜研の男~」。家族は両親と弟。157センチ。

◆三重高ソフトテニス部 男女ともに強豪として知られ、高校総体団体は昨年までに男子が37年連続40回、女子は13年連続14回の出場。男子6度、女子2度の優勝を誇る。同校には全11面のコートがあり、基礎練習は男女ともに同一メニューに取り組む。神崎総監督に加え、現在は08年に同校女子部初の総体優勝を果たしたOG村田真妃乃監督が指導する。