パルクール日本女子のエース、泉ひかり(23=フリー)が得意のスピードランでW杯連覇を果たした。予選を19秒11で1位突破した泉は、決勝で予選2位のネビル・サスキア(27=オランダ)と同走。壁の登りで遅れる場面もあったが、終盤に相手を逆転して17秒31でゴールに飛び込んだ。

2位のアレクサンドラ・シェフチェンコ(32=ロシア)に0・30秒の差をつけた泉は「勝てて、ホッとしています。応援してくれた多くの方に、楽しんでもらえてよかった」と話した。前日のフリースタイル決勝は「悔しい」2位だっただけに、得意のスピードランでは負けられなかった。

身長152センチ、決勝進出の8人の中で最も小柄だ。同走のサスキアは173センチで、壁を登る時などはどうしてもハンディになる。「手足の長さも違うし、大きい方がやっぱり有利」と言いながらも「そこは、スキルでカバーします」。次の動きへの移行がスムーズで、ムダがない。それが泉が世界と戦うための武器だ。

子どものころから体を動かすのが好きで、空手やソフトボール、体操など多くのスポーツをこなした。どれも長続きしなかったが、テレビCMで知ったパルクールは違った。「自由に動き回れるところが、魅力だった」。昨年、米国の大学を卒業して帰国。今はプロとして活動している。

昨年は大学の勉強も忙しく、W杯はFISE広島大会(スピードラン2位)だけの出場だったが、今年は積極的に大会に出場する予定。「W杯の年間チャンピオンは狙ってます」。24年パリ五輪での実施も有力といわれるだけに「多くの人にパルクールを知ってもらえるチャンス。出たいですね」と話した。

CMやテレビ出演などの人気に、W杯連覇で実力も証明。アーバンスポーツの総合大会で、泉がパルクール界のニュースターに躍り出た。【荻島弘一】