ラグビーの世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」で戦う多国籍軍のサンウルブズは25日、北九州市のミクニワールドスタジアム北九州で強化試合を行い、81-28でトップリーグ下部のトップチャレンジリーグ選抜チームのチャレンジバーバリアンズに快勝した。

23年ワールドカップ(W杯)フランス大会へ、日本代表候補の新戦力が躍動した。中でも強烈なインパクトを与えたのが、トンガ出身で大学生で唯一スタメンの天理大3年、WTBシオサイア・フィフィタ(21)だった。

14-7の前半19分、裏へのキックに猛ダッシュ。約40メートル、50メートル6秒2の快足を飛ばしゴール右に転がったボールを押さえてトライした。その後もスピードを生かしてキックパスをトライにつなげるなど計4トライ。後半14分に交代したが「あと2トライは取れた」という大暴れだ。レベルズ(オーストラリア)と戦う2月1日のスーパーラグビー開幕戦へ、「来週が大事なのでそこへ向けて、しっかり頑張りたい」と気合十分で、目標を問われ「(毎試合)ハットトリックしたい」と意気込んだ。

この活躍に、元日本代表NO8の大久保直弥ヘッドコーチ(44)の評価も上昇だ。記者会見で、出場した大学生のコメントを求められた場面。名前が出なかったフィフィタの感想を求められ「そういえば学生でしたね。貫禄がありすぎて」と、照れ笑いするほどのパフォーマンスでチームをけん引した。

魅了したのはフィフィタだけではない。主将として大学選手権優勝に導いた早大4年のSH斎藤直人(22)や、明大3年のロック箸本龍雅(21)らも後半途中から出場して猛アピールした。後半37分、斎藤は、大久保HCが「視野が広く、パスやキックスキルに慣れればもっと生かせる」と評価する裏に蹴るキックでトライをアシスト。箸本も強靱(きょうじん)なフィジカルで攻守にからんだ。

サンウルブズでは「アーロン・スミス(ニュージーランド代表SH)とやってみたい」という斎藤。指揮官が「激しさを前面に出してくれて良かった」と話した将来の若手有望株が、さらなる高みを目指す。【菊川光一】