バレーボールのVリーグで今季初優勝を飾ったジェイテクトの正セッター中根聡太さん(24)が現役を引退し、今月から長年憧れた教員の道に進んだ。母校の愛知・星城高の教諭に採用され、早くもクラス担任を受け持つことになった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で休校中だが、中根先生は学校再開に向けて授業の準備などに追われている。早くに引退し、教員の道に進んだ理由を聞いた。

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中根先生は星城高時代にインターハイ、国体、春高バレーの3大タイトルを2年連続で獲得。日本代表エースの石川祐希(24=パドバ)とは中学、高校と同じチームでプレー。筑波大卒業後、ジェイテクトに入団。西田有志(20)とともにVリーグ初優勝に貢献。「初優勝で新たな歴史を作ることができました。有終の美を飾れて、出来過ぎなくらいです」と、第2の人生を歩み始めた。

-このタイミングでキャリアに終止符を打つのは正直もったいないのでは

中根さん 悔いはないです。セッターとして身長(173センチ)が小さく、高さが劣ることを感じていました。トスの能力などVリーグのレベルと比べ、自分の実力が足りないと昨季から思っていたので、今季は開幕前から最後にしようと思っていました。

-先生を目指すようになったいきさつは

中根さん 中学時代からバレーボールが好きで、ずっとかかわっていきたいと思っていました。ただ、父からは「バレーボールでご飯を食べていくのは大変だよ」とも言われていました。僕自身も周りの選手と比べてサイズがなかったので、プロになるのは難しいと思っていました。それなら指導者の道に進もうと教員を考えました。

-筑波大で教員免許を取得したが、その後ジェイテクトに入団した

中根さん 大学時代にインカレで準優勝、リーグ戦で優勝し、選手として戦える「ワンチャン(ス)あるな」と自信がつきました。地元愛知で頑張るジェイテクトに早くからスカウトされ、入団しました。

-始まったばかりの教員生活は

中根さん 慣れないことが多くて大変です。生徒ともほとんど会えてないです。保健体育を教えるので、スポーツテストなどの授業の準備をしています。

-バレーボール部のコーチも担当する

中根さん (ともにプレーした)石川や西田がベテランになった時、指導した選手が一緒にプレーしてくれたらうれしいです。下のカテゴリーの底上げに貢献していきます。

(聞き手=平山連)