16年リオデジャネイロ五輪代表の長谷川涼香(20=東京ドーム)が、2年連続3度目の優勝を飾った。予選は全体の3位。決勝は果敢に飛ばして2分8秒31で逃げ切った。11月中旬までの国際競泳リーグ(ISL)では強豪相手に負けなしの5連勝。疲労がたまる中でも五輪派遣標準記録をクリアした。自己記録2分5秒62の速さに、勝負強さも身につけてきた。

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構わずに飛ばした。長谷川は100メートルまで日本記録を0秒44上回った。ラスト25メートルは、みるみる後続に詰められる。「後半、持たないのはわかっていた。昔は負けてもしょうがない、と思ったが、今は負けたくないと思うようになった」。最後の力を振り絞って、連覇達成。水にぷかりと浮かんで、天井を見つめた。

ISLで大活躍した。「鉄の女」ホッスー、19年世界選手権銀のフリッキンガーを撃破。ハイテンションで1カ月を戦って5連勝で帰国。「最初の1週間は溺れているような状態だった」と長谷川。決勝前に父の滋コーチにこう言われた。

父 ベースが落ちているから無理して前半から行かなくていいんじゃないか。

長谷川 いってもいかなくても後半に落ちるなら、いって落ちます。中途半端なレースはしたくない。

父には絶対的な信頼を置いている。ただISLで自信をつけたことも事実。20歳は「今まではコーチに言われるとそっちでいいかなと思ったけど、今回は自分の意見を通してもらいました」。自分の言葉に責任を持って五輪派遣標準2分8秒43はクリア。20歳は「そこは成長かな」と笑った。

8月に自己ベスト2分5秒62をマーク。昨年世界選手権優勝タイムを上回った。持ちタイムはメダル級も過去3度の世界大会は決勝を逃している。経験を積んだことで勝負強さも身についてきた。五輪会場での優勝に「この会場で決勝に残りたいし、メダルをとれるように頑張りたい」と来年を見据えた。【益田一弘】