NTTドコモに今季加入したニュージーランド(NZ)代表SHのTJ・ペレナラ(29)が、大善戦の立役者となった。

昨季は0-97と完敗した相手に、後半42分まで29-26。最後の1プレーで逆転トライを許し「泥臭いファイトになると思っていた。選手みんなのプレーぶりが誇らしい。最後に勝ちきるところ、判断のところは、まだまだ学んでいかないといけない」と穏やかな表情で振り返った。

数多い見せ場の1つが、1点リードの前半22分だった。

相手CTBベン・スミス(34)が味方防御ラインをかいくぐって突進。インゴールまで進み、後はボールを置くだけ…という場面で、ペレナラはボールと地面の間に体を入れた。ビデオ判定の結果、ノートライ。仮にトライで主導権を握られていれば、展開は変わっていた可能性があった。

スミスとはNZ代表「オールブラックス」で共にプレー。15年W杯イングランド大会の優勝、19年W杯日本大会の3位を勝ち取った“戦友”だった。

「俺が止めた」

「(トライを)狙っているの、分かっていたぞ」

試合中、そう声をかけたというペレナラは笑った。

「ラック周辺のチャンスを、スミスはいつも狙っている。そこは対応しようとしました」

世界レベルのマッチアップで、4879人の観衆を魅了した。

リーグ全7試合を終えて4勝3敗。チームは白組3位と“台風の目”になった。NZ代表が試合前に披露する「ハカ」でリーダーを務めるペレナラは、苦しんできたNTTドコモの立て直しに大きく貢献した。

11日に行われる最終節4試合の結果を踏まえ、組内の順位が全て確定。順位はトップリーグ(TL)16チーム、トップチャレンジリーグ(TL2部相当)上位4チームが参加するプレーオフトーナメント(4月17日開始)に反映される。

ここからは一発勝負。ペレナラの言葉は頼もしい。

「3位はうれしいこと、誇らしいことですが、勝てる試合を落としてきている。成長しないといけない。トーナメントも僕は全試合勝つつもりで来ている。そのために日本に来ました」

初戦となる2回戦は25日、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場でレッドカンファレンス(紅組)6位と戦う。チームが目標に掲げる「トップ8」まで、あと1勝。野望を抱くペレナラは、そこに満足しない。【松本航】