19年世界選手権代表の萱和磨(24=セントラルスポーツ)が東京オリンピック(五輪)出場を決めた。3位だった全日本選手権(4位、高崎アリーナ)の得点を持ち越した今大会で、合計259・394点で2位とし、上位2人までが自動的に内定する日本協会の選考基準を満たした。

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補欠に甘んじた16年リオ五輪から5年。悔しさをバネに、萱がとうとう五輪切符をつかんだ。「5年は長かった」。表彰式ではそこまで言って声を詰まらせ、「こんなところで泣いている時点でまだまだだと思う」と自分を恥じた。頂点だけを目指しているからこその感情だった。

持ち点3位からのスタートだった。最終種目は4月の全日本選手権で「1000回に1回」(萱)のミスが出た鉄棒。萱は「成功させるよりもミスをするほうが難しいという段階まで仕上げればいい」との覚悟で積み上げた練習の成果をぶつけ、2位に浮上した。

15年世界選手権で団体金メダルメンバーとなり、種目別あん馬では銅メダルを獲得したが、リオ五輪では補欠にとどまった。合宿地のサンパウロでは代表選手と寝食を共にしたが、リオ入り後は別行動。本番は観客席から見るしかなく、金メダルの日本チームを祝福しつつも、素直に喜ぶことはできなかった。

「次は絶対に自分がエースになって金をとる」。リオのスタンドで誓いを立ててからは最も苦手だったつり輪の強化から着手。この日の6種目合計86・698点のみを見れば橋本を上回り全体のトップだ。「日本を引っ張るという思いは変わらない」。強気の言葉で東京五輪を見据えた。

◆萱和磨(かや・かずま)1996年(平8)11月19日、千葉県出身。世界選手権は15年に男子団体総合金メダル、あん馬3位。18、19年団体総合3位、19年平行棒3位。16年リオデジャネイロ五輪代表補欠。昨年の全日本選手権初優勝。順大大学院、セントラルスポーツ。163センチ、53キロ