小さな鉄人が“勝利の伝道師”になる。来年1月に開幕するラグビーの新リーグ「リーグワン」1部のNECグリーンロケッツ東葛は9日、W杯3大会連続出場中のSH田中史朗(36)の加入を発表した。

日本代表歴代5位の通算75キャップを誇る36歳のベテランは、オンライン会見で「努力することが日本人の強み。努力する姿を見せて、選手1人1人にプロ意識を持ってもらい、勝つ集団をつくりたい」と決意を述べた。

8月末に2シーズン在籍した横浜キヤノンイーグルスを退団した。パナソニックなどでともに切磋琢磨(せっさたくま)したフッカーのアッシュ・ディクソンに「一緒にNECを強くしよう」と口説かれ、熟考の末、移籍を決断したという。

近年、低迷するチームへ新加入したWTBレメキ・ロマノラバ(前宗像サニックス)らととも刺激を与え、勝利にこだわる姿勢を示す。その先には「子どもたちへラグビーを通じて夢や希望を与えたい。(自分は)体は小さく、力やスピードがあるわけでもないが、まだまだ日本代表も諦めていない。この体でできることを精いっぱい伝えたい」と思い込めた。会見ではNECキャップをかぶり、視聴するファンへメッセージも送った。

19年W杯日本大会では過去最高の8強入りに貢献。トップリーグ(TL)最後の年となった20-21年シーズンも全8試合に出場した。京都・伏見工業高(現京都工学院)から京都産業大を経て、三洋電機(現埼玉パナソニックワイルドナイツ)に入団。166センチの体格で世界最高峰のスーパーラグビー、ハイランダーズ(ニュージーランド)に在籍した経験もあり、豊富な引き出しを武器に長く主力として活躍しいる。