16年リオデジャネイロ五輪競泳男子400メートル個人メドレー金メダルの萩野公介(27=ブリヂストン)が24日、現役引退を表明した。都内にある所属先の施設で会見して「私、萩野公介は東京五輪をもちまして、現役を引退することにいたしました」と話した。

リオ後は苦悩を経験して「よく自分で頑張ったなと思います」とすがすがしい表情。来年から大学院でスポーツ領域の勉強をする意向も明かした。

萩野は幼少期から「神童」と呼ばれ、数々のジュニア記録を樹立。長く日本の水泳界を引っ張ってきた。

その勝者には「キング・オブ・スイマー」の称号が与えられる400メートル個人メドレーを得意とした。12年ロンドン五輪銅メダル、16年リオ五輪金メダルを獲得。ただ16年9月の右肘手術の影響でその後は苦難の道を歩んだ。19年春にはモチベーションの低下によって3カ月の休養も経験した。

3大会連続出場となった今夏の東京五輪では200メートル個人メドレーで決勝に進出して6位になった。完全燃焼して「この東京五輪は今までの五輪で1番幸せだった」と涙。それが現役最後のレースとなった。

「東京五輪に入る前から、その大会が最後になると決めてトレーニング、大会に臨みました。最後の200メートル個人メドレーで、予選、準決勝、決勝と3本泳げた。競技人生の中で非常にうれしいことのひとつだった。水泳が人生の一部に常になっていた。20数年、次の日に練習があるのは当たり前だった。常にあったものがない。悲しい気持ちもないし、すがすがしい気持ちですが。不思議な気持ちです」と口にした。【益田一弘】