オランダ・レーワルデンで5日に開幕したカーリング北京オリンピック(五輪)最終予選を中継予定のNHKが、放送を続々と取りやめている。

成人向け商品を販売する同国企業のスポンサーロゴが、同局の放送ガイドラインに触れるおそれがあるためという。突然の放送休止に、カーリングファンからは落胆の声が上がっている。

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同局では、BS1で5日午後5時から混合ダブルスで日本の初戦となる米国戦を中継予定だったが、急きょ放送を取りやめた。開始時間には「カーリング ミックスダブルス北京オリンピック世界最終予選『日本×アメリカ』はお休みにします」とテロップが流れ、別番組を放送。同日深夜のラトビア戦、6日夕方の韓国戦も番組を差し替えた。混合ダブルスが終了する9日までに少なくとも6試合の放送を予定していたが、中継の再開は不透明だ。平昌大会に続くメダル獲得が期待されており、放送中止を受け、ネット上には「残念すぎる」「広告なんか気にしない」とファンの声が集まっている。

同局は6日、放送休止理由について「会場内の企業広告に確認が必要なものがあった。どの程度映るのか確認が必要だったため、放送を見送った」と説明。当該広告は「成人向けの商品を販売しているという情報があった」とし、同局の放送ガイドラインに定めた「『品位と節度を心掛ける』ことや『青少年に及ぼす影響について慎重な配慮が求められる』といった点に抵触するおそれがあった」とコメントした。問題となった広告は「EasyToys」というアダルトグッズ企業のものとみられ、カーリングレーンの氷上や会場内にある企業のロゴが、中継映像に映り込むようになっていた。

主催の世界カーリング連盟(WCF)が現地で制作する映像を受けて中継するNHKが広告を把握したのは、放送が差し迫った段階だったという。企業広告が理由による放送の取りやめについて同局は「ここ数年、スポーツ中継でこのケースはない」と困惑。「一刻も早く放送できるよう、WCFに働きかけている」と説明した。11日から始まる男女予選リーグについては「今のところ当初の通り放送予定」としている。

また、米国でも「Olympics.com」で動画配信が予定されていた日本戦が視聴できない事態となり、米国カーリング協会の公式SNSで「不幸なスポンサー問題」があったと報告。NBCテレビがWCFなどと協議を継続するとしている。【遠藤尚子】