7日に開幕するラグビーの新リーグ、リーグワン1部のNECグリーンロケッツ東葛は4日午前、初戦の横浜キヤノンイーグルス戦(8日、柏の葉)に予定通り出場すると発表し、午後に都内ホテルで謝罪会見を開いた。

昨年12月30日に元13人制オーストラリア代表のブレイク・ファーガソン容疑者が違法薬物所持の疑いで逮捕された問題を受けて。

この日までに選手、スタッフ全74人の薬物検査を行って全員陰性だったことを確認し、会見に出席した梶原健代表が「個人の容疑であり、チームとして全く関与していないことが確認された。我々はラグビーのチームであり選手であり、競技を通して、でしか責任を果たせない」と出場を決めた理由を説明した。

梶原代表はコンプライアンスの徹底や入国時の薬物検査から対応が甘かったとした上で、外部人材による調査委員会を設置して1カ月後をめどに内容を公表すると約束した。

決断に際しては「開幕戦のみ欠場する、事態が収拾するまで欠場する、シーズン全て欠場する、廃部にする、とさまざまな検討をした」と強調。最終的には運営母体NECの社長まで話を通して決めたという。

ファーガソン容疑者が13年に母国で暴行事件を起こし、逮捕されたことがあったことも明らかにした。ただ「把握していたが、不起訴で前科が付かなかったこと、子供ができたのでもうしない、と本人が話していた。それだけでは不安だったので(ディレクターの)マイケル・チャイカ氏との面談もしてもらった上で契約を締結した」とした。

ところが、信用は別の刑事事件で裏切られる形となり「ヒアリングを中心としたもので、詳細なバックグラウンドの調査が不十分だった」。昨年9月末に契約して10月27日に来日。隔離期間をへて11月11日から練習に合流していたが、今年1月2日付で契約解除。わずか50日程度で終わった。

単身で来日しており「家族が来られず寂しい」と、グラウンド外で問題を抱えていると熊谷GM補佐は把握。家族の来日に向けてチームも動いたが、新型コロナウイルスの変異種オミクロン株の流行の影響で新規入国の実現が難しかった、との説明もあった。

会見に同席した主将のプロップ滝沢直は「逮捕の事実を知らされた後、練習内容も含め、気持ちを言い合う場(ミーティング)を選手のみで、リーダー陣のみで実施した。(一報を聞いた時は)ショック。言葉がなかった。不安が先にきた形。参戦も含めた、それ以上(長期辞退など)も含めた不安がこみ上げてきたのが正直な思い。今は、手放しでプレーしていいのかという思いはあるが、ハードな練習を今週末の開幕戦のためにやってきた。うれしいという言葉を使っていいか分からないが、それを出せる。チームとして順調だと思っていたが、自戒の念を込めて、もっと密接にコミュニケーションを取って練習していきたい。全ての関わる方々におわびし、プレー、社会貢献を通じて信頼回復に努めていきたい」と複雑な思いを口にした。