花園で6度目の優勝を果たした東海大大阪仰星が、新チーム初の公式戦で快勝を飾った。

花園V戦士のフランカー松沼寛治(2年)FB増山将(2年)らが先発し、14トライを量産。終盤に1トライを許したが、攻守に締まったプレーを見せた。

新チームは花園決勝翌日の9日に始動した。ミーティングで湯浅大智監督(40)が「日本一を取るために、どういう過程を踏み、どういうクラブを作っていくかを考えていこう」と部員に語りかけ、10日には初実戦の練習試合で京都工学院に勝ち、滑り出した。

主将は未定だ。この日のゲーム主将を務めた松沼は「目標は日本一ですが、まだチームとしてのテーマは決まっていません。ただ、みんなサイズが小さいのでアップすること。それと仰星の伝統は展開力なので、速さにはこだわっていきたいです」と話した。

また2代前の主将・近藤翔耶(現東海大1年)の「監督を疑え」という助言を胸に、選手個々が自主性を高めて全国制覇につなげた前チームの理念は継承する。増山は「湯浅先生を疑うことは難しいです」と苦笑いしつつ「グラウンドに立っているからこそ判断できることはあると思います」と話した。

東海大大阪仰星に花園連覇はなく、6度目のチャレンジになる。湯浅監督自身は4度目。13~15年度に優勝、準優勝、優勝しながら、16年度は花園出場を逃した。「あの時は“3年できたんだから”と思ってしまった。生徒が毎年変わるにもかかわらず、適正でない、無謀なチャレンジを求めてしまった。おごりですよね。生徒が育つ環境作りを徹底できず、丁寧さを怠っていました」。苦い経験を糧にしたい。「この世代は優勝経験者はいるけど、成功体験しかない。今、自分たちも“できる”“できるはず”と思っていれば、立ち位置を見誤っている。“やる”です。欲張らず、飛び込む、当たる。基礎、基本を徹底することをたたき込んでいきたい」-。

当たり前のことをコツコツと。選手も監督もその先にこそ、日本一があると信じている。