帝京大は10日、1月にラグビー部監督としてチームを4季ぶり10度目となる大学日本一に導き、退任を表明していた岩出雅之氏(64)が4月1日に創設する「帝京大学スポーツ局」の初代局長に就任すると発表した。大学内のスポーツに関するあらゆる取り組みを一体的に総括する学長直下の組織で、岩出氏は部の枠を超えた、かじ取りを担う。

前人未到の全国大学選手権9連覇など確かな手腕を認められ、岩出氏には他チームから指導のオファーもあったという。この日に都内で行われた記者会見で、同氏はスポーツ局長の打診を受けたのが21年12月だったと明かし「これだけ帝京大学でお世話になって、指導者として幸せな優勝ができて、幸せな終わり方。大切にしていただいている帝京大学に、新しい恩返しをする機会だと思いました」と決断の理由を説明した。

スポーツ局は一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)など、スポーツ関係諸団体とも連携して活動を展開していく予定。岩出氏は「思春期、青年期の学生たちは心の変わるタイミング。(大学スポーツは)彼らの人生を支えるようなものを秘めている」と魅力を口にした上で「危険性もある若さ。まずはいいメソッドで学生たちがエネルギーを生かす組織を整えていく。日々の安心安全。せっかく持っているエネルギーを、つまらない事故で台無しにするのは不幸」と見通しを示した。

今後、ラグビー部で役職の肩書は持たない予定という。スポーツ局初代局長として「のちのちは大学スポーツのさらなる活性化となり、いい若者を送り出したい。その後の人生も、関わっている人たちがさまざまな世界で活躍していくような力の一端になりたい」と決意表明した。【松本航】