今大会最大の「鬼門」を乗り越え、目標の日本一にあと2勝となった。

女子の古川学園(宮城)が準々決勝で東九州龍谷(大分)に2-1で競り勝ち、4年連続の4強入りを決めた。背番号「1」を背負うエース阿部明音(3年)が、20得点の活躍で難敵を退けた。男子は一関修紅(岩手)が、昨夏の高校総体でも敗れた開智(和歌山)に1-2で惜敗。セッター石川愛礼(あれい)主将(3年)を軸に多彩な攻撃を展開したが、リベンジを果たすことができなかった。東北(宮城)は鎮西(熊本)に1-2。山形中央は近江(滋賀)にストレート負けし、それぞれ3回戦で姿を消した。

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昨年の国体に続き、本年度の「2冠」を狙う古川学園が、西の名門からセンターコートに立つ権利をもぎ取った。3回戦で九州文化学園(長崎)に2-0でストレート勝ちした2時間40分後、東九州龍谷と激突。第1Sを先取したが、そう簡単にはいかない。第2Sは今大会3戦中2戦をフルセットで粘り勝ちした相手に息を吹き返され、Sカウントをタイに戻された。

泣いても笑っても、勝敗が決する第3S序盤。岡崎典生監督(54)の熱い言葉がコート横から響いた。「強気でいけ! 気持ちで負けるな!」。奮い立った選手たちは6連続得点の好スタート。終盤は阿部のスパイクから5連続得点で熱戦を制した。同Sで7得点の阿部は「3S目はみんなの気合がすごく、これがチーム」と肌で熱を感じた。

昨年は2年生ながら主力として準優勝に貢献。当時、3年生でただ1人のレギュラーだった前エース鈴木玲香(東北福祉大1年)から背番号「1」を継承し「最後はエースの自分に上がってくる。苦しい時に1本を決めきれる精神力を身につけたい」。重圧は感じず、チームを勝たせたい自覚がさらに強くなった。

今日7日の準決勝以降は3年ぶりとなる有観客開催。家族4人が応援に来てくれる。

阿部 これまで支えてくださった方々に最大の恩返しができるチャンス。このチャンスを絶対に逃さないで、明日はまず勝って決勝に進みたい。

前回優勝の99年から決勝進出はこれまで3度。10年と19年は東九州龍谷に敗れ、苦杯をなめた。「過去のことは過去で、同じ選手ではない。私も相手も変わっている」と岡崎監督。続けてこう言った。「東龍の気持ちの強さですかね。日本一をしっかり狙うという、それ(気持ち)と向き合って戦えたことは大きい」。東北の名門が、1年ぶりのセンターコートで決勝の切符をつかむ。【相沢孔志】

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