駿台学園(東京)がストレート勝ちで、2年ぶりの決勝に駒を進めた。

エースに依存していた姿は、どこにもなかった。駿台学園は全員が正確にレシーブし、セッター吉田竜也主将(3年)が多彩なトスを上げる。それをアタッカー陣が確実に仕留める。身長190センチのエース佐藤遥斗(3年)に頼ることなく、初戦から4試合連続でストレート勝利を収めた。梅川大介監督は言う。「あのバレーを目指すと言い出したのは選手たちなんです」。

昨年1月。新チームが発足する時、1つの方針を定めた。「レシーブを大切にしよう」。ディフェンス重視のチームを目指したのは、高さで勝負はできないと感じたからだ。地味なトレーニングを継続し、質の向上を図った。しかし、あと1歩で押し切れない。夏の全国高校総体は準々決勝で敗退。秋の国体は3位となった。佐藤に任せきりの攻撃が原因だった。

“依存体質”のチームを変えるため、春高開幕の約2カ月前に、主将を佐藤から吉田へ変更した。さらに、下級生が先輩を「○○くん」と呼ぶスタイルも、それまで以上に徹底。練習では下級生からも厳しい言葉が飛ぶようになった。新主将の吉田は「何でも言い合えるようになった」と実感。佐藤も「誰がコートに立ってもボールを拾えるようになった」と手応えを得た。

迎えた今大会。1度もセットを落とさず、現チームで初めて全国の決勝へと駒を進めた。吉田は誓った。「鎮西の高さのある攻撃に負けないよう、組み立てていきたい」。勝利の立役者は1人じゃない。全員主役で、日本一をつかみにかかる。【藤塚大輔】